なんと結成24年でメジャーデビュー! BARAKAに聞く(前編)
1997年に結成されたプログレッシブ・ロック・トリオ「BARAKA」が今年、メジャーデビューアルバム「MAVERICK」をユニバーサルからリリースした。苦節24年、ついにメジャーデビューを果たしたバンドから、ベース、ボーカル、ペダルシンセサイザー担当の依知川伸一(60)が来し方行く末を語るインタビュー、その前編はメジャーデビューについて。
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依知川、ギター、ギターシンセサイザーの高見一生(56)、ドラムスの平石正樹(58)からなるBARAKAはベスト盤、カバー盤含め16枚のアルバムをリリースしてきた。
海外では早くから認められており、豪州ではメジャーのMGMから5thアルバムをリリース。「BARAKA 7」(2007年)からは、プログレやインストに強いフランスのムゼアレコードがリリースしてきた。
国内メジャーデビューは、ひょんなことから決まった。
「知り合いを通して、ユニバーサルの人に音を聴いてもらうチャンスがあった。それが縁で、やってみようかっていうことで」
オリジナルアルバムとしては8年ぶりの本作は、コロナ禍でライブが全て中止となったため制作にかじを切ったもの。一匹狼、異端者といった意味の言葉をタイトルとした理由を「どこにも属さない音楽をやってるという意識がすごくありまして。僕たちの歴史とこれからに向けて覚悟を現したかったという意味があって選びました」と説明する。
BARAKAの音楽性はファンク、ジャズ、ブルースなどさまざまな音楽の要素を「自分たちなりのロックのベースの上に演奏」するもの。曲作りは次のように行われる。
「3人でスタジオに入ってセッションしながら作ります。高見がアレンジの中心になっている。彼が一つのリフを弾いて、それに平石がリズムを作ってっていうふうにパーツから作って、そこからふくらませて曲のイメージを作っていく」
ライブでも「サイズとか決めていなくて、ソロとか好きに弾いていって、合図で次の展開に行く。このアルバムも、リリースをして初めてのライブの時、既にアレンジが変わっている曲がいっぱい。そういう意味では、ジャズ的な要素もライブにはすごく出ます」と、曲が現在進行形で変化していく。
「前へ進む、希望っていうのがテーマみたいな」という本作では「バンド活動を続けてきて、前へ前へというエネルギーは常に持ち続けてきている。出来上がった作品を聴いてみると、今回は特にそういう気持ちが出た」と自覚。背景にはコロナ禍が「絶対にあると思う」と言う。
「AメロがあってBメロがあってサビがあってという音楽じゃなくて、1回出てきた音がずーっと過ぎていっちゃうような音楽なんで、すごく難しく考えられちゃうこともある」BARAKAだが、次々に変化していく曲調には何が起こるんだろうと思わせる面白さがあふれている。本作の楽しさは、コロナ禍で閉塞しがちな今の時代のニーズにも応えられるものだ。
依知川は「ライブでは同じ曲を何回も繰り返してやったりもしますけど、同じメンバーでこれだけやっているってことは、そこから生まれるものがすごくあると感じる。このアルバムもすごく先が見えたっていうか、次のBARAKAが行くステージの入り口になったな、その第一歩になったなってすごく感じました」と手応えを明かす。(後編に続く)