ワクチン予約停止続出 複数自治体がシステム障害 特定企業依存のリスクあらわに
米IT大手「セールスフォース・ドットコム」で12日、大規模なシステム障害が発生し、8都府県の11自治体で一時、新型コロナウイルスのワクチン接種の予約受け付けができなくなった。予約システムはいずれも同日中に復旧。多くの自治体がLINEを介して予約する仕組みだった。セ社の日本法人は「ご迷惑をお掛けし、深くおわびする」とのコメントをウェブサイトに掲載した。
共同通信の集計では、トラブルがあったのは群馬県沼田市、東京都目黒区と狛江市、金沢市、静岡県磐田市と森町、三重県鈴鹿市、大阪府和泉市と箕面市、山口県萩市、長崎県佐世保市。和泉市は、システムが復旧したものの、予約受け付けは13日から再開する。厚生労働省が運用するワクチンの配送、接種実績を管理する「V-SYS(ブイシス)」も一時停止した。
セ社によると、午前6時8分に複数のサービスが利用できない状態となり、午前11時20分に全てのシステムが正常に復旧した。プログラム修正に伴う設定変更のミスが原因で、手動で復旧した。
狛江市は75歳以上の予約が午前9時から午後1時まで受け付けられなくなった。金沢市などもLINEやコールセンターでの受け付けを一時停止。佐世保市では、セ社のサーバーを使用する予約サイトが利用できなくなった。目黒区では75歳以上の高齢者約2千人が4カ所の会場で接種予約をしていたが、予約の有無が確認できなくなり、予約があるとみなして接種を進めた。
同社のシステムを導入していた金融機関では海外送金や口座開設の手続きができなくなるなどのトラブルが相次ぎ、山梨、香川県の防災サイトも閲覧や更新ができなくなった。
ネットワーク経由でさまざまなソフトウエアやデータを利用できるクラウドサービスは、設備投資のコストを抑制しつつ、高度なデータ処理や業務管理を行うことができる。コロナ禍で在宅勤務が普及したこともあり、企業や行政機関の利用に弾みがついた。