西郷輝彦 ステージ4前立腺がん公表 最先端治療受けるため豪州へ「後がないんだ」
俳優で歌手の西郷輝彦(74)が12日、ステージ4の去勢抵抗性前立腺がんであることを自身で立ち上げたYouTubeチャンネルで公表。最先端の治療を受けるため、4月末にオーストラリアに渡航したと所属事務所を通じて発表した。
西郷は2011年に前立腺がんを摘出。17年11月に再発し、治療を続けてきた。前立腺がんのマーカーが上昇したため、日本では未承認の治療を受けることを決意し先月23日に豪シドニーに向け出発。合計3回4カ月間の治療を受け8月末に帰国する予定という。関係者は帰国後に体調と相談しながら仕事復帰するとした。
YouTubeで西郷は「ステージ4というともう横綱。だけど強くはない。後がないんだ」と胸中を吐露。ホルモン治療に始まり、放射線や抗がん剤治療を11回も受けたと公表した上で「願いはただ一つ。もう少しだけ好きな仕事をさせてほしい」と治療を決めた理由を明かした。
コロナ禍での渡航治療について「感染が止まらない日本を後にするのは心残りではありました」としながらも「愛する皆様お元気で待っていて下さい。同じ病と闘う皆様の希望になれたら大成功です」と、自身の体験で病に苦しむ仲間を力づけることを誓った。
西郷がシドニーで受ける治療は「PSMA治療」とみられる。前立腺がん細胞表面に存在するたんぱく質(PSMA=前立腺特異的膜抗原)に結合する物質に放射性物質を組み合わせ、がん細胞のみを狙い撃ちする治療法で、進行性前立腺がんや再発転移を起こした前立腺がんに有効だという。
他の臓器にダメージを与えず、副作用が少ないという安全性と有効性の高さから近年国際的に注目されており、ドイツやオーストラリアでは治療が確立。日本では放射性物質の取り扱いに関する法的制限があり、現在まで承認されていない。