宝塚 月組トップ珠城りょう退団公演開幕「いまの月組を覚えておいて」
宝塚歌劇月組トップスター珠城(たまき)りょうと、トップ娘役・美園(みその)さくらの退団公演「桜嵐記(おうらんき)/Dream Chaser」が15日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。
「桜嵐記」は上田久美子氏の作・演出で「大きく幹の太いまっすぐな木」というイメージの珠城のために当て書きされた作品。南朝の武将・楠木正行の儚くも鮮烈な命の軌跡を描いている。公演ポスターには「限りを知り 命を知れ」と記されているが、まさにタカラジェンヌと重なる。
珠城はそんな上田氏の期待に応え、おおらかでまっすぐな正行像を作り上げた。烏帽子姿も美しく、不器用ながら真摯に向き合う姿は、珠城が重なる。末弟・正儀役の月城かなと、長弟・正時役の鳳月杏も適材適所の配役となった。
また「Dream Chaser」はオーソドックスで王道のショーに仕上がった。珠城を中心とした黒燕尾(えんび)での男役のダンスは圧巻。美園がエトワールを務め、美声を劇場いっぱいに響かせた。
14日に行われたゲネでは、珠城が「月組にとっては1年半ぶりのショー。お芝居もショーも先生方のあたたかさを感じます。希望をお届けしたい」とあいさつ。また「私事ですが…私を含む9名が退団、2名が組替え。いまの月組を覚えておいていただければ」と人柄のうかがえる真摯な言葉に、関係者からは熱い拍手が送られていた。