ニコン デジタル一眼レフカメラ年内に国内生産終了 タイに生産移管へ
カメラ大手のニコンはデジタル一眼レフカメラ本体の国内生産を年内に終了することが7日、分かった。スマートフォンカメラの性能向上で、デジタルカメラ市場は大幅に縮小している。構造改革の一環として、国内で唯一、カメラ本体を手掛けている宮城県の工場からタイの主力工場に生産を移管する。
ニコンは1948年にカメラを発売し、キヤノンとともに業界をけん引してきた。国内では現在、関連会社の仙台ニコン(宮城県名取市)の工場でプロ向けの最上位機種「D6」のみを生産している。ニコンは「海外で作っても品質水準は落ちない」と説明する。
宮城県の工場は雇用を維持して部品などの生産を続け、ヘルスケアやセンサーといった成長事業にも人員を振り向ける。
スマホに複数のカメラが搭載されるなど高画質な写真を撮れるようになり、カメラを持ち歩く必要がなくなったため、市場は低迷している。カメラ映像機器工業会によると、2020年の生産量は約874万台で、15年の4分の1程度に落ち込んだ。
ニコンが強いプロ向けカメラにソニーが参入するなど競争は厳しさを増している。ニコンの21年3月期連結決算は純損益が過去最大となる344億円の赤字だった。ニコンはデジカメの交換レンズの部品加工を手掛ける山形、福島両県の2工場の閉鎖も予定している。