藤井聡太王位 豊島竜王に完敗発進 通算1勝7敗の壁「第2局以降は熱戦にできるよう」
将棋の藤井聡太王位(18=棋聖との二冠)が、豊島将之竜王(31=叡王との二冠)の挑戦を受ける第62期お~いお茶杯王位戦七番勝負第1局2日目が30日、愛知県名古屋市の「名古屋能楽堂」で指され、後手の豊島竜王が104手で勝利した。藤井王位は大きく負け越している同郷の先輩相手に完敗し、通算成績は1勝7敗に。厳しいスタートとなった。第2局は7月13、14日に北海道旭川市で行われる。
豊島竜王の壁はまだ高いのか。前日はほぼ互角で指していたものの、2日目に入り豊島竜王の激しい攻めが一気に加速。藤井王位は一度も有利な展開を築けないまま、15時35分に「負けました」と声を振り絞った。悔しさからか終局後もしばらく沈黙し、下を向いた。
本局が11戦目になるタイトル戦では、昨年7月に渡辺棋聖(当時)と対戦した棋聖戦第3局以来の2敗目。昨年は熱戦の末の敗北だったが、この日はお互い2時間弱の持ち時間を残しての投了。「自玉(の守り)が薄いので、粘り方が難しかった。正確に攻められてしまって、かなり苦しくなってしまったのかなと思いました」。一回り年上の大敵の前に、18歳の体が小さく見えた。
7月は王位戦第2、3局と25日開幕の叡王戦第1局と、週1ペースで豊島竜王と指していく。先に開幕している渡辺明名人(棋王、王将との三冠=37)との棋聖戦や他棋戦も抱える過密日程の中で、修正や対策が求められる。
前日会見で豊島竜王への苦手意識を尋ねられ「意識せずに盤上に向かいたい」と話していた藤井王位。完敗スタートとはなったが「本局は早い時間の終局になってしまったので、第2局以降は熱戦にできるように頑張りたいです」と前を向いた。成長の夏はまだまだこれからだ。