明治安田生命・永島英器社長 新社長は50年来の虎党だった 36年ぶり日本一を
大手生命保険会社・明治安田生命の新社長(取締役代表執行役社長グループCEO)にこのほど永島英器氏(58)が就任した。実は50年もの間応援し続けている筋金入りの阪神ファン。今回は、新型コロナウイルス感染拡大で先行きが見えない、厳しい状況下での就任への抱負や今後のビジョンなどとともに、今季のタイガースについてもたっぷり語っていただいた。
「うれしいですね。丸の内で働くビジネスマンが出場することは、なかなか価値があることだと思う」。
いつも温和な永島新社長は、さらに表情を緩ませ喜びを語った。
東京五輪のラグビー7人制男子日本代表に、社業をこなしながら出場を目指していた同社の加納遼大選手(29)が選出された。5月下旬には所属女子プロゴルファー・勝みなみ選手(23)が2年ぶりにツアーV。Jリーグのタイトルパートナーや、日本女子プロゴルフ協会とのオフィシャルパートナー契約の締結など、さまざまな形でスポーツをサポートしている企業としては何よりの吉報続き。「スポーツには人を明るくする力がありますよね」。
そんなタイミングでの社長就任。「弊社には『明治安田フィロソフィー』というものが大きくあり、10年計画、3年計画がある。それをしっかり実行段階に移すという決意は、いささかも迷いもブレもない」との決意を語る。
「明治安田フィロソフィー」とは「確かな安心を、いつまでも」の言葉で示される経営理念や企業ビジョンなどで構成する会社の基本理念。10年計画は、10年後の目指す姿を「『ひとに健康を、まちに元気を。』最も身近なリーディング生保へ」と定めたもの。そして3年計画はこの10年計画の成功へ着実に軌道に乗せていく中期経営計画。社内の業務などの4大改革と、社会貢献活動「みんなの健活」「地元の元気」の2大プロジェクトを軸に進めていくものだ。
コロナ禍、そしてデジタル化。取り巻く環境の変化は激しい。同社は顧客対応にデジタルコンテンツを活用。昨年はデジタル化による非対面での顧客対応が3倍に増えた。それでいて毎年行っている「お客さま満足度調査」は、昨年、過去最高値を記録した。
デジタル化が進む中、永島社長が社内で言い続けてきた言葉がある。それは「最後は人間力」だ。「一期一会の出会いから寄り添い続け、真の絆をつぐむのは人間力。今はデジタル力を兼ね備えた上での人間力」と説いてきた。
コロナ禍で世の中が厳しい中でも「保障を継続させたいというお客さまが多かった」。その原動力は、やはり社員個々の人間力。「営業職員が一生懸命コンサルティングをやった結果だと思います」と評価している。
顧客の意識も変化した。「このような時だからこそ保険の価値を再認識された方も多かった」という。これから日本はますます少子高齢化が進むが「国の財政が厳しい中で社会保障が充実していくことは難しい。その中で民間の保険という形で、社会のセーフティーネットを支えていく非常に大きな使命を担っていると思う」。一人一人がデジタル力そして人間力を備え、顧客それぞれのその時々の事情、要望に寄り添っていく。これからもそんな企業であり続ける。そしてその舵取り役を担う。
永島新社長は、1963年東京生まれ。生粋の江戸っ子だ。子供のころから“判官びいき”な一面があり「大きいもの」や「強いもの」に対して一層ファイトが湧いた。そんな性格を端的に表しているのが「半世紀にわたる阪神ファン」。
子供のころに見たV9の巨人に立ち向かう阪神。王、長嶋に真っ向勝負する村山、江夏。その姿に心を奪われた。東京大学在学時には阪神応援サークル「帝虎会」で活動。日本一となった1985年は、リーグ優勝と日本一をともに球場で見届けた。社長就任に際し阪神ファンを公言してからは、人脈も広がったそうだ。
今年の好調な阪神は何よりの楽しみ。「ルーキーの活躍が頼もしいですね。特に佐藤は50年間見てきた阪神の新人選手の中で最高の選手。人間力を感じるし、スケールが違う。ぜひ本塁打王を取ってほしい」と人間力を兼ね備えた背番号「8」にぞっこん。そして「36年ぶりの日本一ですね。リーグ優勝はもちろん日本一の時は、その場にいたいですね」。すでに気持ちは日本シリーズ、そして日本一!今年は楽しみな秋になりそうだ。
「都市対抗野球が今年は秋に開催されます。ぜひ(野球部に)東京代表として出場してほしいですね。昨年までは(同地区のJR東日本に在籍した)阪神の伊藤によくやられていたみたいですよ」。
野球の話題も、最後は社長として吉報が続けとばかりに自社の話題で締めくくった。うれしそうに阪神ネタを交えて…。