宝塚の至宝・轟悠の最後の公演開幕「感傷に浸るより、下級生に伝えたい」
宝塚歌劇の“トップ・オブ・トップ”とも称され、10月1日付で退団する専科の轟悠最後の公演となる「婆娑羅の玄孫」が10日、梅田芸術劇場シアター・ドラマシティで開幕した。
作・演出は轟の代表作「風と共に去りぬ」や「ベルサイユのばら」で知られる植田紳爾氏。「退団するときは植田先生の作品で」という轟たっての願いで実現した。江戸を舞台に、轟演じる長屋に住む婆娑羅大名の玄孫・細石蔵之介を主人公に、1部は清の姉弟の敵討ちを中心に、2部は蔵之介の出自にまつわる物語が繰り広げられる。
轟は着流し姿も美しく、所作の一つひとつが一幅の画のように決まる。専科の汝鳥伶とのやり取りは、轟の宝塚での人生を重ね合わせるかのように、心に染み入る。
これが最後の公演となる轟だが「感傷に浸るより、むしろ私が学んできたものを、下級生に伝えてたい」と、後輩への思いを口にしていた。そんな宝塚の至宝の思いに応えるかのように、タイプの違う武士2役を演じた天華えまや、瓦版屋の極美慎らも若手スターも熱い芝居を見せた。また敵討ちの姉弟役の小桜ほのか、稀惺かずとらも爽やかな演技を披露した。
公演は15日まで。東京芸術劇場プレイハウスは21~29日。その後ディナーショーも開催される。