阿部寛 追求続けた日本美学 「夕霧花園」で怪演「他国の映画だから際立って出せた」

 俳優の阿部寛(57)が、マレーシア映画「夕霧花園」(24日公開)で古風な庭師・中村有朋を怪演している。海外映画4作品目となる本作で演じるのは、日本美学に重きを置く芸術家でありながら、終戦時に日本軍が埋めたとされる埋蔵金「山下財宝」にまつわるスパイ疑惑をかけられているという複雑な役どころ。形のない日本美学を追求し続けたトップ俳優の鬼気迫る撮影秘話に迫った。

 日本軍による占領というゆがんだ関係にあった第二次世界大戦終盤から、戦後にかけてのマレーシアを舞台に、国同士の因縁を越えひかれあう男女の美しくも切ないラブストーリー。イギリスの植民地だったマレーシアを、日本軍がわずか50日あまりで占領するなど、さまざまな権力がうごめいていた世相に「元々すごい興味があった」という阿部は、撮影に際し「マレーシア側からどう描かれるのか。誤解が無いように、文化の違いの捉え方をすりあわせていきました」と明かした。

 本作で鍵となる造園技術のひとつである“借景”を学ぶため、茶道、彫り物など日本の伝統的な美学が記された書籍を読みあさり、専門家に教えを請うた。

 さらには、NHKに保管されている門外不出の映像を基に猛研究を重ねたが、完全に理解するまでには至らなかったという。しかし、撮影地マレーシアで実際に造園を眺めた時、ようやく真理と出会った。「自然に囲まれた湖との間に岩を置くだけで、深みがものすごい出て、距離感が一気に変わる。『なるほど、これが“借景”か』と」。

 最後まで日本美学を追究し続けた阿部は、撮影を振り返り「日本人としての精神性を出すことって、日本映画だと美しく出せない。他国の映画だからこそ、際立って出せたんじゃないかな」と充実感を漂わせた。

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