国宝級イケメン・中川大志のストイックな素顔-「好きなんです、作っている感じが」
俳優・中川大志(23)の演技への向き合い方は、アスリートに似ている。準備し、トレーニングを重ね、本番で解放する。子役時代からキャリアは10年以上。国宝級イケメンと呼ばれた青年は、日本テレビ系ドラマ「ボクの殺意が恋をした」(日曜、後10・30)でプライム帯の地上波連続ドラマ初主演に挑んでいる。演じるのは、ターゲットに恋をしてしまう殺し屋役。難役を体現する、ストイックな素顔に迫った。
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殺し屋がターゲットに恋をしてしまう-。リアリティーを付与できなければシラけてしまいそうな設定だ。中川も「だいぶチャレンジングな企画だなと思いました」と認める。
中川が演じる主人公・柊(しゅう)は普通の青年だが、育ての親・丈一郎が殺され、漫画家の鳴宮美月(新木優子)が犯人だと伝えられる。丈一郎が伝説の殺し屋だと知った柊は、遺志を引き継ぎ復しゅうを誓う…が、生来の間の悪さからライバル殺し屋に狙われる美月を助けてしまい、恋心が芽生えていく。
「メチャクチャじゃないですか?」と笑いつつ「訳分からないけど、そこに飛び込んでいけるピュアさを大事にしてます。イメージは天使。花がつぶされていたら『誰!?こんなことしたの!?』と共感できるピュアさがないと成立しないなぁと思っています」と、アプローチを明かした。
小学生でこの世界に入り、二枚目もおバカな役もハマる愛されポジションの独自枠。20代になってから改めてネジを巻き直し、演技コーチとイチから芝居を勉強し直している。
「10代の時は肌で覚えていて、どうやってるの?と言われたときに言葉にできない。でも、それを武器として、自分をコントロールしていくのが本当のプロだと思って、ちょっとずつですけど。スポーツ選手は、試合以外でトレーニングするじゃないですか?それと同じ感覚です」
アスリートのように演技を“鍛える”。作品がない時期もレッスンを重ね、各国の演技論に触れる。コーチいわく「演技は自分の体が楽器だから、チューニングしとかないといけない」。体の“音”に敏感になった。
「『変な音が出る』というのを知っていると、現場で不具合が起きた時に軌道修正できるんです。前は分かんなかったんですけど。そういうのが自信にもつながっています」
真っすぐ演技に向き合うストイックさの根源は何か。
「言っちゃえば、こんな作り物のウソっぱちをこんなにお金と時間かけて、大の大人たちが集まって、作ってるってすげ~な~って、ずっとワクワクしてます。好きなんです、作っている感じが」
監督業にも興味があるという。どんな作品を作りたいか聞くと、う~んと考え込んで「子供たちとやっても楽しいかもしれない。もしかしたら学校の先生になりたいのかも。先生になろうかな。やめます、役者」と笑う。
子役時代からずっと周りが大人だったので、年下のキャストやスタッフが新鮮だと語る。「育てたいなんて偉そうなことは思ってないですけど、純粋なお芝居を撮りたい」。中川作品から、優秀な生徒たちが羽ばたく日がくるのかもしれない。
◇中川大志(なかがわ・たいし)1998年6月14日生まれ、東京都出身。小学4年生の時にスカウトされ、2009年、子役としてデビュー。11年、ドラマ「家政婦のミタ」で一家の長男役を演じ、注目を集める。19年、日本アカデミー賞新人俳優賞。今年4月からFM NACK5「中川大志のConnected base」がスタート。映画「犬部!」(22日公開)、「都会のトム&ソーヤ」(30日公開)が待機中。