フランソワーズ・アルヌールさん死去 「ヘッドライト」「過去をもつ愛情」
1950年代のフランス映画を代表するスター女優だったフランソワーズ・アルヌールさんが20日に死去したと、フィガロ、ル・モンドなど仏主要メディアが報じた。90歳。長い間、闘病していたという。
1931年、仏領(当時)アルジェリア生まれ。パリの高校を卒業後、ボエール・テロン夫人の門下で演劇を学び、49年、ジャック・ベッケル監督「七月のランデブー」でデビューした。
50年代に「過去を持つ愛情」、「ヘッドライト」、「幸福への招待」など一連のアンリ・ヴェルヌイユ監督作品やジャン・ルノワール監督「フレンチ・カンカン」、ロジェ・ヴァディム監督「大運河」などに出演。かれんなトランジスタ・グラマーで、ブリジッド・バルドー以前のフランス映画ではセックス・シンボル的存在だった。「学生たちの道」ではアラン・ドロンと共演している。
私生活では著名パブリシストのジョルジュ・クラヴェンヌ氏と離婚後、ベルナール・ポール監督と再婚したが、死別した。
日本でも人気で、文藝春秋の「大アンケートによる女優ベスト150」ではオードリー・ヘプバーンやマリリン・モンローを抑えて1位に選ばれている。
1996年、35年ぶりの来日を果たした際、デイリースポーツのインタビューに応じ、1961年の初来日を「カンヌやヴェネツィアでも見たことがないほど大勢のカメラマンに囲まれました」と回想。自身の演技について「自然に出てくる頭で考えない演技。演技は生きる瞬間、一瞬一秒に体験する感情です」と述べていた。