【山田美保子のミホコは見ていた!(東京五輪・特別版)】アスリートの「言葉で観る五輪」

 放送作家でコラムニストの山田美保子さんのコラム「ミホコは見ていた!」は【東京五輪・特別版】としてお届けします。新型コロナウイルス感染拡大による逆風が吹き荒れる中、始まった五輪が、ついに最終日を迎えました。史上初めてとなる1年延期の事態を乗り越え、戦いに挑んだアスリートたち。競技を終えた彼らが発したさまざまな言葉から、コロナ禍に実施された「東京五輪2020」に迫ります。

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 「賛否両論があることは理解しています。ですが、我々アスリートの姿を見て、何か心が動く瞬間があれば本当に光栄に思います」とは、柔道男子73キロ級の大野将平選手。苦悩や葛藤を抱え、前代未聞の厳しいルールや検査をしながら臨んでいた全選手の想いを代弁したものだ。大会3日目、この言葉が東京五輪の見方を示してくれた気がする。

 開催の是非をめぐって世間の声をダイレクトに受けた競泳の池江璃花子選手は女子400メートルメドレーリレーで8位入賞後、「すごい幸せ」と笑顔を浮かべてくれた。翌2日、「アスリートや色んな人への誹謗中傷がなくなってほしい。それを許してはいけない」と声をあげたのは卓球の水谷隼選手である。

 競技以外のこととも闘わなければならない選手たちのメンタルが心配でならなかったが、「いつも通り、みんな仲良く友達としてやっていた」(スケートボード女子パークの開心那選手)、「24時間、乗っていたいくらいなので(スケボーは)彼氏です」(同、四十住さくら選手)らの言葉に救われた。

 かつて日本選手は「プレッシャーに弱い」と言われたものだが、「ラスカルの話、してました」(スケートボード女子ストリートの西矢椛選手)、「私、緊張しないので、フフフ」(ゴルフ女子の稲見萌寧選手)らのコメントからは、明らかに時代の変化が感じられたものだ。

 毎大会、取沙汰される「家族」「兄弟姉妹」「地元」などについても「こんなに強いのか、と。毎日一緒で近くにいたからわからなかった」(レスリング女子57キロ級の川井梨紗子選手が妹で62キロ級の友香子選手に対して)や、「沖縄の伝統が世界の方々に愛されていることを、五輪を通じて沖縄や世界の皆さんに伝えられると思う」(空手男子形の喜友名諒選手)など注目コメントが目白押しだった。

 また、レスリングの吉田沙保里氏、柔道の松本薫氏、卓球の平野早矢香氏らの後輩選手へのコメントが沁みた。選手の気持ちをもっとも知ると言っても過言ではない先輩メダリストらが先に泣き出してしまったのだから。実況・解説では「ゴン攻め」(スケートボード女子ストリートの瀬尻稜氏)「真夏の大冒険」(フジテレビの倉田大誠アナ)が金メダルだ。

 選手の多くが「開催していただいたことに感謝」「支えてくださったすべての方に感謝」と異口同音に述べた今大会。過去最多のメダル獲得数と礼を重んじた美しい姿に日本国内から「ありがとう」の大合唱が止まない。

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