中田宏氏の自民党総裁選を分析 どうなる二階派 岸田氏の次の総裁の行方
衆議院議員を4期、横浜市長を2期務めた中田宏氏(57)がデイリースポーツの取材に応じ、決選投票の末に岸田文雄前政調会長が勝利した総裁選を総括。結果を「順当」と評したうえで、1回目の投票で3位に敗れた高市早苗前総務相(60)の重要ポスト登用を予想。さらに岸田氏の次の総裁のメインストリームとなるとの見方を示した。
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【岸田氏の勝因】
終始、安定した戦いをしていました。その上で高市さんの猛追があり支持拡大に必死になったことも勝因の一つでしょう。また、最後まで一糸乱れずに戦った派閥は岸田派だけ。非常に乗っている神輿(みこし)が強固だったと言えるでしょう。
【河野氏の誤算】
アピール力のない菅首相への反動で期待感が高かった。ですが、討論会などで他の候補者から質問の集中砲火を浴び「大丈夫かな?」という空気が広がっていった。政策へのムラ、詰めが甘かったですね。それが爆発的な伸びにつながらなかったと思います。
【高市氏の今後】
善戦ですよね。岸田政権の中では重要閣僚に起用されるのでは。決選投票では細田派を中心とした高市氏支持の票が岸田氏に流れたとみるのが自然で、十分にこれで“ポスト岸田”の流れができたのではないか。次(の総裁)が高市さんという流れがメインストリームになってきたんじゃないかと思いますね。
【河野氏の今後】
今後数日が見どころですね。敗れたとはいえ河野氏が党員・党友票を多く集めていたのは事実で、岸田氏も挙党一致をアピールしています。何らかのポストに登用する可能性はありますので、そこに河野氏がどう対応するかでしょうね。
【岸田政権の行方】
極めて現実的な政権になると思います。菅首相との違いはスピーチの力強さですね。一切メモを見ずに力強く発信し言い間違いをすぐに訂正しました。メッセージ力は意外にあるなと感じましたし、じわじわと国民の間で支持が広がっていくのではないでしょうか。
【長期政権の可能性は】
もともと宏池会はお公家集団と言われて、その中でも岸田氏はスマートな人。失敗は少ないが魅力に欠ける人だった。ですが、総裁選を通じて“ニュー岸田”になってきました。コロナも収束に向かっていくでしょうし、腰を据えて長期を担う可能性はありますね。
【岸田氏は改革に手を付けるか】
岸田氏が改革という言葉を使ったのは「党」に関することだけ。人事では若手なのか女性なのかはともかく、一つぐらい目玉を作ると思います。党員・党友の支持を集める意味でも、当初から言っていた党役員任期の「1期1年、連続3期まで」はやると思います。自分が人事を行うわけですので、難しくはないです。
【二階派はどうなる】
今後、分析が必要ですが、総裁選で派閥として一体的な行動ができなかったとすれば空洞化に向かってしまうと思います。さらに、二階氏は幹事長からは外れます。幹事長でいる、というのが二階派の最大の強みでしたので、派閥解消を含めた危機的状況を迎える可能性はありますね。