デイリースポーツ記者が語る 印象に残ったさいとう・たかをさんの言葉「私は、はぐれ者」
世界を股に掛ける謎の暗殺者を描いた代表作「ゴルゴ13」や、「無用ノ介」、「影狩り」などのヒット作で知られる漫画家さいとう・たかを(本名斉藤隆夫=さいとう・たかお)さんが24日午前10時42分、すい臓がんのため死去した。84歳。和歌山県出身。葬儀・告別式は親族で行った。さいとう・たかをさんを取材したデイリースポーツ記者が、さいとうさんの素顔を語った。
◇ ◇
3年前の9月、川崎市内で開催された「ゴルゴ13」の連載50周年記念展で、さいとう氏を取材した。「私は、はぐれ者」という言葉が記憶に残った。
社会的にリスペクトされる存在になっても、その精神を忘れず、自らをスナイパー(殺し屋)というアンダーグラウンドな存在に重ねた。
鉄人だった。「最高で60時間も続けて働いた。4時間寝かせてもらって、また48時間働くとか、そんな生活でしたよ。(同業で)私と同世代の人はみんな逝ってしまいました。健康の秘けつ?ちょっとでも時間あったら寝ること」。80代でも現役を貫いた。
連載開始当時は32歳。「ゴルゴは私より1つ上という設定でしたが、もう(ゴルゴの)年齢は完全に“ほっかむり”(放置)ですね」と笑った。
「子供の頃から、私ははぐれ者で、世の常識に付いていけなかった。ゴルゴも非常識な人間。それで私みたいな人間でも(創作活動によって)なんとか生きてこられた」。ゴルゴ13は分身だった。(デイリースポーツ・北村泰介)