小倉智昭 ステージ4だから「処置なし、打つ手なし」ではない【医師の見解】
フリーアナウンサーの小倉智昭(74)が4日、文化放送「くにまるジャパン 極」(月~金曜、前9・00)に生出演し、「ステージ4の膀胱がんの肺への転移」と診断されたことを公表した。2018年に膀胱がんの全摘手術を受けていた。抗がん剤治療のため、6日から1カ月入院する。兵庫県芦屋市の松本クリニック・松本浩彦院長が病気について解説する。
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小倉智昭さんが膀胱がんで手術を受けられ、今度は肺に転移して、ステージ4の段階にあるということを公表されました。
これは全ての「がん」に当てはまることですが、他の臓器に転移があれば「ステージ4」になります。ステージ4が最も進行して悪化した段階と思われがちですが、必ずしもそうではありません。
ステージの判定は、がんの大きさや広がり『T』、リンパ節転移の有無『N』、他臓器への転移『M』、という3つの要素を組み合わせて行います。原発巣が小さくてもリンパ節転移がなくても、他の臓器に転移していれば即座にステージ4です。
ステージ4だからといって「処置なし、打つ手なし」ということではありません。ただし、他臓器に転移しているということは、体中のどこにがん細胞があってもおかしくないので、まずは抗がん剤で全身的に治療する必要があります。それがステージ4の意味です。
今回の小倉さんのように肺に転移していても、それが小さなものであれば、抗がん剤や放射線治療、場合によっては手術、さらに今では粒子線治療や免疫療法、遺伝子治療など様々な治療法がありますので、状況に則した治療が行われます。肺にあっても元は膀胱がんですから、膀胱がんに効く抗がん剤が使われるはずです。
◇松本浩彦(まつもと・ひろひこ) 芦屋市・松本クリニック院長。内科・外科をはじめ「ホーム・ドクター」家庭の総合医を実践している。同志社大学客員教授、日本臍帯プラセンタ学会会長。