寂聴さん語録「生命力のある激しい女が好きです」「若さは恋と革命です」
「夏の終り」「かの子撩乱」など愛と人間の業を見詰めた小説や人々の心に寄り添う法話で知られ、文化勲章を受章した作家で僧侶の瀬戸内寂聴(せとうち・じゃくちょう)さんが9日午前6時3分、心不全のため京都市内の病院で死去した。99歳。徳島市出身。葬儀は近親者で行う。後日、東京都内でお別れの会を開く予定。先月から体調不良で入院していたという。
率直な語り口が魅力的だった瀬戸内寂聴さんの言葉を、インタビューなどから拾った。
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「私、生命力のある激しい女が好きです」(1967年、「鬼の栖」を出版して)
「暗い時代に埋没したまま忘れられている女性たちを、現代によみがえらせたい」(72年、「余白の春」を出版して)
「私の中では仏教と文学は一つです」(74年、比叡山での60日間の荒行を終えて)
「一番情けなかったのは学生がほとんど反戦運動をしなかったことね。情けない国になったねえ、日本は」(91年、湾岸戦争反対断食による衰弱から回復して)
「ものを書くという執着を捨てれば、本当の宗教家になれるんじゃないかと思う。けれど、これがまだ捨てられず、最後の煩悩」(91年、哲学者梅原猛さんとの対談で)
「人を殺した過ちは償い切れないが、生きて事件を総括することがざんげであり、責任であり、死者への供養」(93年、連合赤軍事件の永田洋子被告=当時=への最高裁判決に対して)
「尼さんの言うことじゃないけど、不倫も自分で責任を取る覚悟があればね。でも、その覚悟がなくて、いいかげんにするから汚らしくなるんです。離婚も覚悟ならね」(98年、インタビュー)
「最近、愛する人と死別した人、手を挙げて。ああ、こんなにいらっしゃる。つらいのは自分だけじゃない。元気を出して」(2001年、岩手県・天台寺の法話で)
「岐路に立ったときには常に苦しい方、危険な方を選んできました」(07年、インタビュー)
「若い時にしたいことを全部してください。若さは恋と革命です」(13年、東日本大震災復興支援イベントで聴衆の若者を前に)
「良い戦争はない。戦争はすべて人殺しです。二度と起こしてはならない」(15年、安全保障関連法案反対集会で)
「女が今ほど自分のしたいことをできる時代はない。世の中が進歩したというより、努力して女が勝ち取ったんです」(21年、インタビュー)