歌舞伎俳優・松本白鸚（７９）が１６日、都内で行われた主演ミュージカル「ラ・マンチャの男」（来年２月６～２８日、東京・日生劇場）の製作発表に共演する次女で女優の松たか子（４４）と出席し、先月２８日に死去した弟・中村吉右衛門さんへの思いを語った。

　劇中歌「見果てぬ夢」について「レクイエムを歌う者が１人増えてしまいましたから」と語り、「別れというのはいつでも悲しいもの。たった１人の弟でしたから」と改めて吐露した。それでも「いつまでも悲しみに浸っていてはいけない。それを乗り越えてはね返して、色んな思い出はありますけど『見果てぬ夢』を歌いたい」と気丈に語った。

　松は主演舞台の東京公演千秋楽の日に訃報を聞いたといい、大阪公演の初日に「おじに向かって『幕あけてやったぞ！』って気持ちになった」と告白。「私たちは舞台に立ち続けることでしかお返しなり感謝できないかなという思いで、心からお悔やみを申し上げているところです」と心境を語った。

　今公演は白鸚にとって、１９６９年の初演から５０年以上主演を続けた代表作のファイナル公演。「５０年以上やっていて、ミュージカルのテーマと俳優・白鸚の生き方が一緒になっちゃう。本当に自分は人間として俳優として幸せ者」と思い入れを語っていた。