河瀬直美監督 不適切字幕の自身密着NHK番組で談話【全文】「事前に内容把握は不可能」

 映画監督の河瀬直美氏が11日までに、自身に密着したNHK・BS1のドキュメンタリー番組で、不適切な字幕がついたことが問題になっていることについて、コメントを発表した。

 昨年12月26日に放送された「河瀬直美が見つめた東京五輪」の中で、五輪反対デモに参加していると紹介された男性について、「実はお金をもらって動員されていると打ち明けた」と字幕がつけられた。しかし、NHKは9日、実際に男性が五輪デモに参加した事実が確認できていないと明らかにし、「ディレクターらの確認が不十分だった」と視聴者におわびしていた。

 河瀬監督はNHKから謝罪があったことを明らかにした上で、「本番組においては、私は被取材者の1人ですので、事前に内容を把握することは不可能です」と、問題となる部分について、放送まで知らなかったことを明らかにした。

 河瀬監督は、東京五輪の公式映画で総監督を務めている。

【以下、コメント全文】

 昨年末、NHK BS1 スペシャルで放送された「河瀬直美が見つめた東京五輪」の番組内容に関して、昨年、NHK大阪局より一部内容についての謝罪と経緯の説明がありましたので、これを受けて、自らの言葉でお伝えいたします。

 五輪反対デモに参加していると紹介された男性について、公式映画の担当監督の取材において、当該男性から、「お金を受けとって五輪反対デモに参加する予定がある」という話が出たことはありません。

 また、番組内で、担当監督が取材のまとめ映像を私に見せるという場面がありましたが、このまとめ映像にも、当該男性は含まれていません。

 本番組においては、私は被取材者の1人ですので、事前に内容を把握することは不可能です。

 今回のNHKの取材班には、オリンピック映画に臨む中で、私が感じている想いを一貫してお伝えしてきたつもりでしたので、公式映画チームが取材をした事実と異なる内容が含まれていたことが、本当に、残念でなりません。

 現在は、6月の公開に向けて、たくさんの登場人物の、唯一無二な時間の数々と向き合いながら、鋭意編集作業を進めています。

 映画を楽しみにしてくださっている皆様のもとに、この作品がお届けできるその時まで、真摯に創作に打ち込みたいと思います。

 2022年1月10日 東京2020オリンピック公式映画総監督 河瀬直美

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