宮川花子「遺作ではない。希望乗せた本」 がん闘病記発売で大助と自宅からリモート会見
夫婦漫才コンビの宮川大助(72)と宮川花子(67)が3日、奈良県内の自宅からリモートで、著書「宮川花子闘病記『あわてず、あせらず、あきらめず』」(主婦の友社刊)発売記念会見を行った。血液のがんの一種、症候性多発性骨髄腫と診断された花子の、大助のサポートによる闘病を記した作品で、執筆期間は1年半という。
花子の達者なしゃべりに衰えはなかった。妻を思って、隣で何度も涙した大助の姿で病の重さが感じ取れた。
最初の入院時に大助から日記を勧められた際は、右手の握力がゼロではしも持てず断ったという。退院後から書き始めた花子は「とてもうれしい」と出版を喜んだ後、「決して遺作ではないので、これから自分の希望を乗せた本なので」と声を大にした。
19年6月から休業し、同12月に病を公表した花子は「治るもんや思ってて。だんだん病気のことを知るにあたって、この病気は治らないと知った。でも、人は200年、300年生きるわけではない。自分はこれからも闘っていきたい。愛を込めてこの本に託した」と続けた。
花子から「ウチの介護男子です」と紹介された大助は「朝に読み直したが、50ページぐらいは入院するまでの過程。何回も本を伏せた。大変な病気と嫁は闘っていると思う」などと話すと絶句。花子は「泣いたらあかん言うてたやん」とつっこんだ。
花子は一時、3人がかりでリクライニング式の車イスに乗せられていたというが、大阪・なんばグランド花月(NGK)での夫婦漫才の復活を思い描きながらのリハビリで徐々に回復。現在は風呂、トイレ、ベッドに横たわること、階段で2階に上がることもできるという。
“復帰”について大助は「現在、NGKの定席に入ってもらいたいと言われても、2ステージぐらいはできても(花子に)体力がない。今年1年で体力がつくかも半分は賭け。舞台では歩いてセンターマイクまで行けても、そこで10分、15分立って、2人で会話するのは不可能だと思う。そこで座っての座談会トークショーみたいなものをやれるのでは。そういうスタイルが中心になっていくのでは」と説明。
「センターマイクにシュッと立てたら、ぶっ飛ばすような漫才がやりたいけど。車で1時間ぐらいのところで講演、イベントをやるぐらいならできると思う。でも約束ができない。日々、体調が変わるので」と明かした。
花子は昨年12月19日に奈良県生駒市で行われたイベントでステージに上がり、大助とトークを披露。「むちゃくちゃ楽しかった。幸せだった」としたが、テンションが高すぎて、大助は「3日ぐらい寝込んでた」と苦笑いした。
退院時には一時、光が見えたが、数値の悪化で状況が変化。週に1度の化学療法を続ける花子は「遠くの夢は見られなくなった。来週は何してるかなとか。だから、NGKの漫才という大きな夢は遠くに置いている」と告白した。