「不愛想な男」本郷奏多は変わり者? 素顔はポジティブな戦略家 「カムカム」で存在感

 初の朝ドラ出演で新境地を楽しむ本郷奏多(撮影・西岡正)
初の朝ドラ出演で新境地を楽しむ本郷奏多(撮影・西岡正)
 「カムカムエヴリバディ」での五十嵐文四郎(本郷奏多)と大月ひなた(川栄李奈)(C)NHK
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 3世代のヒロインを100年にわたって描くNHK連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」(総合、月~土曜、前8・00)が、最終章に突入した。3代目ヒロイン・川栄李奈(27)による「ひなた編」で存在感を見せるのが、無愛想な男こと五十嵐文四郎役の本郷奏多(31)。珍エピソードに事欠かず、変わり者のイメージがある本郷だが、話を聞くと素顔はポジティブな戦略家だった。

 反目し合いながらも息ぴったりな本郷と川栄の掛け合いが朝の癒やしとなっている。「無愛想な男」のクレジットで登場した大部屋俳優の五十嵐は、徐々に熱い時代劇愛と憎めないキャラクターが露見。早くも「当て書きでは?」との声が上がる当たり役だ。

 初の朝ドラ出演だが、自称・夜型人間のため、オファーを受けるまで過去作を視聴した経験がなかったという。キャリアを振り返り「朝のお茶の間に出たことがほとんどなくて、だいたいお金を払わないと見られない作品で人を殺してるか、殺されてるか。ついにお茶の間に受け入れられるチャンスだと思いました」と新境地を楽しんでいる。

 俳優デビューは2002年公開の映画「リターナー」。今年で20周年のベテランだ。多くの現場を経験し「尊敬できる先輩の姿勢や『なんだこいつ?』って大人をたくさん見てきて、いい要素は取り入れるし、ダメな部分もなりたくないものとして取り入れる。それを多感な10代にたくさん見られたのが考え方の形成につながっています」と説明する。

 役はスタッフや共演者たちと作り上げる総合作業との考えから「役作り」という表現を好まない。事前準備は入念で、役のため猛練習したギターは特技の1つとなり、今では作曲もこなす。

 個性的な役のイメージや意図的なリップサービスから「偏屈」「変わり者」に見られることも多いが、素顔はポジティブな合理主義者。自身を「何かを人のせいにするのは一番非生産的だと思っていて、めちゃくちゃポジティブだし、明るいし、前向き。楽しんでもらいたいのでリップサービスをすることも多いです」と分析する。

 バラエティー番組での発言から「グミとポテチしか食べない」という偏食エピソードが有名だが「ちゃんとご飯を食べてますよ」と笑顔で訂正。「偏」で「変」なイメージが先行するからこそ、会ったときの好青年な顔がギャップになる。一方で「持論なんですけど、健康に気を遣って我慢するより、食べたい時間に食べたいものを食べるのが究極の健康法だと思っています」と一筋縄ではいかないのも本郷らしい。

 ポケモンカードやガンプラなどの趣味を生かしたYouTubeチャンネルも好調。配信動画をきっかけにゲームのイベントに呼ばれ、タイアップでは自ら打ち合わせに参加してプレゼンを行うなど俳優の枠を超えた活動が増えてきた。

 「近年の自分を客観視するなら確実にマルチタレント」と称するが、肩書きはあくまで俳優だと強調する。

 「自分から俳優を取り上げたら、すぐに消えていくと思います。俳優がベースにあるから、いろんな発言や活動が許されている人間だと思っていて、俳優という太い柱があるからこそ大丈夫だなっていうギリギリを攻めていける。線引きはすごく正確にできていると思っています」

 冷静な戦略家は、支店の業績アップを喜びつつも「俳優を一生やっていきたい」と本店への愛をにじませた。

 ◆本郷奏多(ほんごう・かなた)1990年11月15日生まれ。宮城県出身。幼少期からキッズモデルとして活動し、02年に俳優デビュー。独特のオーラを持ち、映画「GANTZ」「進撃の巨人」などの漫画原作の実写化に多く出演している。30歳の誕生日にYouTubeチャンネル「本郷奏多の日常」を開設。出演作の映画「嘘喰い」が公開中。

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