西郷輝彦さん 酸素マスク越しにニヤッと 三女・今川宇宙語る亡くなる前日
大ヒット曲「星のフラメンコ」や主演ドラマ「どてらい男」「江戸を斬る」で知られる歌手で俳優の西郷輝彦(さいごう・てるひこ、本名今川盛揮=いまがわ・せいき)さんが20日午前9時41分、前立腺がんのため都内の病院で死去した。75歳。鹿児島市出身。葬儀は近親者で行う。昨年5月にステージ4の去勢抵抗性前立腺がんを公表し、最先端治療を受けるために渡豪。昨年9月に帰国後も闘病していたが、力尽きた。訃報を受け、御三家の仲間である歌手の橋幸夫(78)、舟木一夫(77)ら芸能界にも悲しみが広がった。
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西郷さんと明子夫人との三女で女優の今川宇宙(25)が21日、ブログで、亡くなる前日の19日に見舞ったことを報告し、愛する父親を追悼した。
演劇の公演中だった今川は19日、「父の病状を聞き、無理を言って昼公演と夜公演の合間に病院へ駆けつけました」と明かした。対面した西郷さんの様子は「思ったより顔色が良く、酸素マスク越しにニヤッと返してくれました」と、意識は明瞭だったという。
西郷さんが好きなビートルズの「レット・イット・ビー」を流すと、西郷さんは「目がキラキラして、手でリズムを取って、口パクで少し歌ったりして、曲が終わったら酸素マスク越しに手の甲にキスをしてくれた」と喜んでくれた。
演劇公演の千秋楽だった20日は劇場に向かう途中で姉から訃報が届き、病院に向かった。対面した父の顔は「目を覚ますんじゃないかと思ってしまう程に穏やかな表情でした」と、安らかだった。
今川は天国の父に「偉大な俳優・歌手であり、芝居や歌や人生について多くを教えてくれた師匠であり、そして何よりも強くて優しくて家族思いな、この世でたった一人の大好きなお父さん。世界で一番大好きだよ」と呼びかけていた。