JRA京都競馬場の淀寮内に淀城跡が発掘 鳥羽伏見の戦いの状況などを知る貴重な史料

 JRA京都競馬場淀寮の増築工事に伴い、京都市埋蔵文化研究所が調査したところ、淀城跡の家老屋敷が発掘された。18世紀後半に水害対策としてかさ上げ工事が行われていた事実や、1868年の鳥羽伏見の戦いでの火災跡も確認された。当時の防災のあり方や、鳥羽伏見の戦いの状況を知ることができる非常に貴重な史料だ。

 見つかったのは、18世紀中頃から後半に、地下1メートル40センチのところで使われた家老屋敷の跡。その後、同じ場所の70センチ高いところに再び屋敷を建てており、軟弱地盤に対応するために生まれた石柱を立てる蝋燭(ろうそく)基礎という工法でかさ上げ工事を行われていた事実も確認された。

 今回検出された工法は、当時、関西にはなく、江戸周辺や下総国に多くみられたもの。江戸時代中期に稲葉家が淀藩の藩主となる前、下総国佐倉藩の藩主であったことが関係していると考えられている。淀城は桂川、宇治川、木津川の合流点に接していたため、度々、洪水被害を受けており、かさ上げ工事を行った背景には、安永3年(1774年)の大洪水などの災害の影響もあるようだ。

 赤く焼け焦げた地層や、黒く焼けた礎石も見つかり、京都市埋蔵文化財研究所の南孝雄調査課長は「これまで京阪電車の高架工事に伴う調査など、いくつかの調査を行っていますが、ここまで明確に鳥羽伏見の戦いの火災痕跡が発見できたのは今回が初めてです。淀藩10万石の家老屋敷の構造も分かりました。関西でここまで具体的に家老屋敷の構造が明らかになったのも珍しい。淀の地の特性に伴う水害に対する備えや、例の少ない工法も明らかになりました。貴重な調査成果です」と力強くコメントした。

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