西村京太郎さん死去 ミステリーの大家「書き終えて良かった」最後まで自筆で原稿用紙

 2017年9月放送の「月曜名作劇場ドラマ特別企画 西村京太郎サスペンス 十津川警部シリーズ3 伊豆踊り子号殺人迷路」に出演する西村京太郎さん(右)と十津川警部役の内藤剛志(c)TBS
 鉄道模型を前にインタビューに答える西村京太郎さん=2018年8月、神奈川県湯河原町の西村京太郎記念館
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 「十津川警部」シリーズなどトラベルミステリーの第一人者として知られる作家の西村京太郎(にしむら・きょうたろう、本名矢島喜八郎=やじま・きはちろう)さんが3日午後5時5分、肝臓がんのため神奈川県湯河原町の病院で死去した。91歳。東京都出身。葬儀は近親者で行った。後日、お別れの会を開く。喪主は妻・瑞枝(みずえ)さん。関係者によると、昨年末から体調を崩し、入院していたという。

 600冊以上を書き上げ、累計発行部数2億冊を超えるミステリーの大家が生涯現役を貫き旅立った。

 昨年末から体調を崩し入院していた西村さんだが、1月には新潮社から「土佐くろしお鉄道殺人事件」を刊行。同社文芸編集部の公式ツイッターによると、昨年暮れにファクスで入院すること連絡してきたといい、「土佐くろしおの原稿は書き終えていたのでよかったです」と記されていたという。同作を含め原稿は、最後まで自筆で原稿用紙に書いていたという。

 西村さんは作家を志して工業学校卒業後に務めていた人事院を退職し、1963年に「歪(ゆが)んだ朝」でオール読物推理小説新人賞を受賞。65年には「天使の傷痕」で江戸川乱歩賞に輝くなどステップを上がった。

 転機となったのは、78年の「寝台特急(ブルートレイン)殺人事件」の大ヒット。列車や旅を題材にしたトラベルミステリーのジャンルを切り開き、十津川警部や左文字進などの人気キャラクターを生み出した。

 中でも十津川シリーズは、数多く映像化され、渡瀬恒彦さんや高橋英樹、船越英一郎らが警部を体現。内藤剛志が十津川警部を演じたTBS系「月曜名作劇場」(17年放送)には、西村さん本人がゲスト出演している。

 高額納税者の作家部門常連で作品はゲーム化もされ、バラエティー番組で最高年収7億円と発言したことも話題に。83年にはデイリースポーツで、プロ野球界を舞台にしたミステリー「日本シリーズ殺人事件」を181回にわたって連載した。

 96年に死去した「ミステリーの女王」と呼ばれた作家の山村美紗さんとは30年にわたる家族同然の親交があり、山村さんの葬儀では弔辞を読み、未完の山村作品を書き継いで完成させた。

 長く在住した神奈川県湯河原町に西村京太郎記念館があるが、新型コロナウイルス禍の影響で休館している。

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