藤井五冠 最年少名人へ追い風 名古屋トヨタ自動車オフィス内に“ホーム”対局場開設
日本将棋連盟は16日、愛知県名古屋市のトヨタ自動車オフィス内に公式戦を行う対局場を新設することを発表した。主に名人戦順位戦の対局の一部を行い、6月の開幕から使用する。来期からA級順位戦に挑む藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖との五冠=19)にとっては、地元での順位戦対局が増えることで、史上最年少での名人位獲得へ向けての追い風となりそうだ。
将棋の公式戦はこれまで、タイトル戦の番勝負や一部のトーナメント戦を除き、東京・将棋会館と大阪・関西将棋会館の2カ所で行われてきた。対局数の増加により手狭になったことをうけ、名古屋駅から徒歩5分ほどの大型複合施設「ミッドランドスクエア」に入るトヨタ自動車名古屋オフィス内に、畳を入れて対局を実施。1日に最大7局が可能で、当面は3、4局を開催するという。
愛知県瀬戸市在住の藤井竜王にとって、対局過多に伴う移動時間の増加は悩みの種だった。新幹線利用で、名古屋駅から関西将棋会館へは約1時間、東京将棋会館へは2時間超の移動を強いられていた。名古屋対局なら移動時間も大幅に抑えられ、前日に現地入りする必要もなくなる。
藤井竜王が見据える名人奪取の最年少記録は谷川浩司九段(59)の21歳2カ月で、記録更新には来期A級で1位となり、22年度の名人戦七番勝負で奪取する必要がある。負けられない戦いが続くが、藤井竜王は順位戦の過半数が名古屋対局になる可能性もあり、より良いコンディションで戦える“ホームグラウンド”が味方する展開になりそうだ。
連盟の佐藤康光会長(52)も「近年は藤井五冠をはじめ、中部・東海エリア出身の活躍が目覚ましいですが、より一層の将棋文化の発展と地域活性化に努めてまいります」とコメント。藤井竜王の存在が、日本将棋界の“中心”となりつつあることを感じさせた。