宝田明さん急逝 87歳、肺炎 14日妻に看取られ ダンディズムの象徴 遺作4月1日公開

 映画「ゴジラ」シリーズの第1弾に主演するなど、銀幕やミュージカルで活躍した俳優の宝田明(たからだ・あきら)さんが14日午前0時31分、都内の病院で肺炎のため亡くなったことが18日、分かった。87歳。宝田さんはすでに新型コロナワクチンの3回目接種を受けており、コロナには感染していなかったという。葬儀は遺族の意向により近親者のみで執り行った。喪主は妻・将未(まさみ)さん。お別れの会については今後検討するとしている。

 1週間前まで元気な姿を見せていた宝田さんが急逝した。

 10日には遺作となった乃木坂46・岩本蓮加(18)とのW主演映画「世の中にたえて桜のなかりせば」(来月1日公開)の完成披露舞台あいさつに出席。腰痛治療中のため、車いすでの登場で、MCの質問を聞き取れない一幕もあったが、ジョークを飛ばすなど笑顔を見せていた。翌11日もマスコミの取材に応じ、終活について「平和をお伝えしていくこと」とライフワークだった反戦への思いを熱く語っていたという。

 ところが、同日夜になって「疲れた」と訴え、12日朝に体調不良で入院。宝田さんは酸素マスクを着用していたため、筆談で「俺の部屋は○○号室だ」「あしたの予定はキャンセルしろ」と関係者に伝え、意識もはっきりしていたという。

 関係者が病院を離れた13日夜になって容体が急変。血圧が下がり始め、血中酸素濃度が低下するなど病状が悪化し、14日未明に妻・将未さんに看取られ、亡くなった。

 1953年に東宝ニューフェイス6期生として芸能界入りした宝田さんは、54年に特撮映画の草分けとなる「ゴジラ」で初主演。当時としては珍しい180センチ超えの長身と甘いマスクでトップスターとなる。

 舞台映えするスケールの大きさからミュージカルでも活躍。長年、ミス・ユニバース日本代表選出大会の司会を担当し、品と色気のあるダンディズムの象徴的存在だった。

 私生活では、日本人で初めてミス・ユニバースに輝いた児島明子さんと66年に結婚。歌手の児島未散(54)など3子をもうけたが、84年1月に離婚。同年9月に将未さんと再婚した。

 遺作となった「世の中に-」はエグゼクティブプロデューサーも務め、幼少期を過ごした旧満州になかったため憧れたという「桜」をテーマに終活を描いた。思い入れは深く、映画「スター・ウォーズ」のような長期シリーズ化を検討していたというが、叶わぬ夢となってしまった。

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