濱口監督 ハリウッド作品「挑戦したい」チーム「ドライブ・マイ・カー」凱旋

 3月27日に米ハリウッドで開催された映画界最大の祭典「第94回アカデミー賞」で、邦画としては13年ぶり5度目の国際長編映画賞を獲得した映画「ドライブ・マイ・カー」の濱口竜介監督(43)が5日、主演の西島秀俊(51)、山本晃久プロデューサー(41)と共に、都内で受賞会見を行った。その後、西島、三浦透子(25)、岡田将生(32)、霧島れいか(49)と凱旋舞台あいさつを行い、ファンに直接、感謝の言葉を伝えた。

 オスカー像を手にした濱口監督は緊張した表情で凱旋会見に現れ、100人以上の報道陣からの質問を一つずつかみしめて答えた。

 受賞の心境を「受賞直前までオスカーが自分の人生に関係してくると思わなかった。全く別世界だと思っていた」と吐露。集まったカメラの台数に驚き、会見も含めて「自分が今まで体験したことのない世界に導いてくれるような物だろうという気がしています」と率直に話した。

 「ハリウッド作品の監督オファーがあれば」という問いには、昨年、作品賞や監督賞などを獲得した「ノマドランド」の中国人監督クロエ・ジャオ氏と話して「ステージで、正気でいなさい」とアドバイスされたことを述懐。その上で「重い言葉だと思いました。足を地に着けてやっていけるような題材や体制があれば、挑戦してみたいなと思います」と、慎重な姿勢ながら意欲を見せた。

 ハリウッドには約3週間滞在し「桁外れの世界だと感じました。予算規模で全く違うので、もし関わるとしたら段階的に自分のスケール感を調整しないといけない」と感じたという。改めて受賞を「通過点だったらいいなと思っているだけで、これからです」とし、「前よりちょっと映画を作れるようになりたいと思っています」と今後の成長も誓った。

 作品賞、脚色賞は初ノミネートの快挙だったが、「何十年ぶりや初でなく今後も続いていけば日本映画界にありがたいことだと思います。アジア映画全般への関心は高まっているらしいと現地で聞いています。好奇心を貫く作品が出てくることを願っています」と、継続の重要性を指摘していた。

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