吉野家「到底許容できず不適切」女性蔑視発言の常務を解任「分かりやすく」と釈明も即断
吉野家ホールディングス(HD)は19日、女性を蔑視し人権を無視する不適切発言をした牛丼チェーン吉野家の伊東正明常務(49)を18日付で解任したと発表した。伊東氏は16日、早稲田大主催の社会人向け講座で、若者を狙ったマーケティング戦略に関して不適切な発言をし、吉野家が18日に謝罪していた。伊東氏は、社外アドバイザーだった総合コンサルティング企業・アクセンチュアや、パートナーシップだったコンサルティング企業・M-Forceの契約も解除された。
「早い!安い!うまい!」が売りの老舗牛丼チェーン。まずい事態に早い対応で“クビ”を通告した。
吉野家HDは18日に臨時取締役会を開き、伊東氏の同社執行役員と子会社である吉野家の常務解任を決議。同日付で解任したことを明らかにした上で、「人権・ジェンダー問題の観点から到底許容することのできない職務上著しく不適切な言動があった」と解任の理由を説明した。
慶大卒業後、P&Gで「アリエール」や「ジョイ」などの商品をヒットさせた伊東氏は、2018年10月に吉野家の常務に就任。企画本部長として、新商品の開発、宣伝企画を担当していた。
吉野家はこの日、都内でタレントも出演予定だった親子丼の新商品に関する発表会を予定していたが、不適切発言を受け、急きょ中止した。インターネットの交流サイト(SNS)では、講座の参加者によるとみられる投稿に対し、伊東氏の発言を批判するコメントが殺到していた。
受講生とみられるSNSによれば、伊東氏は若者を牛丼好きにする方法を受講生に提案させようとした際に、「田舎から出てきたばかりの若い女の子を、生娘のうちに牛丼中毒にする。男に高い飯をおごってもらうようになれば、牛丼は絶対に食べない」という趣旨の話をしたという。
同社によれば伊東氏は「若い女性をより集客するにはどうしたらよいかと質問した際に、分かりやすい表現で問いかけたく、過激な言葉となった」と釈明しているという。
伊東氏は、アクセンチュアとM-Forceからも契約を解除された。
一方、吉野家HDは河村泰貴社長の4~6月の月額報酬を30%減額するほか、5月にグループ会社も含む役員に対し、コンプライアンス(法令順守)の研修を実施する