藤井叡王先勝 22年度初タイトル戦好発進 50日ぶり対局に不安も「普段通り指せた」
将棋の藤井聡太叡王(19=竜王・王位・王将・棋聖との五冠)が挑戦者・出口若武六段(27)に93手で勝利し、22年度初のタイトル戦を白星で飾り、好発進した。3月9日の前局から期間が空き、不安もあったというが「普段通り指すことができた」と安どの表情を浮かべた。本年度は八大タイトルのうち、最大で七冠となる可能性がある。
少し緊張した面持ちで迎えた本年度初戦。タイトル初挑戦の後輩棋士に地力の差を見せつけ、圧勝した。
藤井叡王は「前回から期間があって、やってみないと分からないところもあるかなと思っていましたけど、普段通り指すことができたと思います」と胸をなで下ろした。
先手となった藤井叡王は相掛かりへ誘導。昼過ぎまで互角のまま重厚な長考合戦が続いたが、ペースをつかむとそのまま押し切った。お互い1分将棋に突入した熱戦を終えると、同じ関西所属で奨励会時代も過ごした出口六段と、笑顔でマシンガントークの感想戦が行われた。
対局を振り返り、「こちらが積極的に動いていけるかという将棋。具体的な手段が難しくて、考えても分からない局面が多かった」と渋い表情。「とにかく久しぶりの対局で、途中少し時間を使ってしまったところもあると思うので、第2局以降はそのあたりを修正していきたい」と具体的な課題を示した。出口六段は「誤算があった。次は内容を良くしたい」と話した。
本年度初のタイトル戦で先勝発進。昨年度は二冠を防衛、三冠を増やす躍進を遂げた。本年度は五冠の防衛と、挑戦権を得られる王座、棋王の獲得で、最多七冠を達成できる(名人は最速で来年度以降)。全冠制覇の夢へ、一歩ずつ進み続ける。