ゼレンスキー大統領「独裁者は敗れる」カンヌ映画祭で予告なし演説
第75回カンヌ国際映画祭が17日(日本時間18日未明)、フランス南部カンヌで開幕し、ウクライナのゼレンスキー大統領が開幕式に予告なしでオンライン参加した。
演説でゼレンスキー氏は喜劇王チャップリンの映画「独裁者」に言及し、ロシアのプーチン大統領を念頭に「独裁者は敗れると確信している」と訴えた。
ナチス・ドイツのヒトラーを風刺した1940年公開の「独裁者」についてゼレンスキー氏は、チャップリン作品で初の完全トーキー映画だったことに触れながら「現実の独裁者を破滅させはしなかったが、来たる自由の勝利をうたう声だった」と指摘した。
ロシアのウクライナ侵攻を巡り「再び独裁者が現れ、自由のための戦争が起きている」と述べ、「新たなチャップリンが必要だ」と呼びかけた。会場の俳優や監督ら映画関係者は立ち上がって拍手を送った。
カンヌ映画祭は、イタリアの独裁者ムソリーニが利用したベネチア国際映画祭に対抗して39年に初回の開催を図ったが、第2次大戦勃発で46年まで開けなかった。ゼレンスキー氏はこうした歴史にも触れた。
映画祭は28日(同29日)まで行われ、コンペティション部門には是枝裕和監督の韓国映画「ベイビー・ブローカー」が出品され、他の20作品と最高賞「パルムドール」などを競う。