北海道・知床半島沖で観光船「ＫＡＺＵ　１（カズワン）」が沈没した事故で、海上保安庁から依頼された専門業者「日本サルヴェージ」の潜水士が１９日午後、深い海での作業を可能にする「飽和潜水」で船内を捜索した。深さ約１２０メートルの海底に沈んだ船の内外を直接調べたのは初めて。不明者の捜索は早ければ２０日に終了し、船体の引き揚げに向けた調査を引き続き行うとしている。

　海保や現地対策本部によると、飽和潜水の作業は、潮の流れが速かったことから開始を午後１時から午後３時半頃へ変更。潜水士は、密閉された空間で時間をかけてヘリウムや酸素の混合ガスを吸うなどし、海底の水圧に体を適応させてから捜索に入った。

　潜水士は午後４時過ぎに水深約１００メートルまで水中エレベーターで降り、午後５時５分頃、船内に入った。真っ暗な客室内に不明者の姿はなく、手掛かりもつかめなかった。第１管区海上保安本部などは船舶と航空機で捜索を続行したが、行方不明者につながるものはなかった。