「日本赤軍」重信房子元最高幹部「被害を与え、おわびします」懲役20年満期出所 

 1974年にオランダのフランス大使館が武装占拠されたハーグ事件に関与したとして、懲役20年の判決を受けた「日本赤軍」の重信房子元最高幹部(76)が28日、服役していた医療刑務所「東日本成人矯正医療センター」(東京都昭島市)を満期出所した。

 重信元幹部は午前7時55分ごろ、長女メイさん(49)とともに黒のワンボックスカーで施設の敷地から出た。付近の公園で報道陣に「見ず知らずの人たちに被害を与え、おわびします」と述べた。服役中にがんの手術を受けており「まずは治療と学習に専念したい」と話した。関係者によると、その後、東京都内の集会に参加。涙ながらに祝福する支援者に感謝の言葉を繰り返したという。

 出所に当たって、報道機関に配布した文書では「革命の『正義』のためならどんな戦術をとってもかまわない。こうした斗い(闘い)方に無自覚だった」と振り返る一方、「自分が『テロリスト』と考えたことはありません」とつづった。

 今後については「語れる範囲で真摯(しんし)に答える機会を持つことも考えたい」とした上で「市民の一人として何か貢献したいという思いはありますが、能力的にも肉体的にも出来ることはありません」とも記した。

 日本赤軍を巡っては、日航機がハイジャックされたダッカ事件に関与したとされる坂東国男容疑者(75)らメンバー7人が国際手配中。重信元幹部は01年に日本赤軍の解散を表明したが、警察当局は、「解散は形だけ」との見方を示し、元幹部の動向や出所の影響を警戒している。

 重信元幹部はオランダ・ハーグで74年9月、武装した日本赤軍のメンバーがフランス大使館を襲撃した事件で国際手配され、大阪府内に潜伏中の00年に逮捕。10年に最高裁で懲役20年が確定した。

 ◆日本赤軍 革命拠点を海外につくる「国際根拠地論」に基づき、レバノンに出国した重信房子元最高幹部らが1970年代に結成。メンバーの岡本公三容疑者らが72年に起こしたイスラエル・テルアビブの空港乱射事件では約100人が死傷。75年のクアラルンプール米大使館占拠事件などで、日本国内で服役するなどしていたメンバーらを超法規的措置として釈放させた。00年11月に逮捕された重信元幹部は日本赤軍の解散を表明。現在も岡本容疑者ら7人が国際手配されている。

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