カンヌの是枝監督 4度目栄冠!「ベイビー・ブローカー」で主演ソン・ガンホが男優賞
仏南部で開催された第75回カンヌ国際映画祭の授賞式で日本時間29日、コンペティション部門に出品された是枝裕和監督(59)初の韓国映画「ベイビー・ブローカー」(6月24日公開)に主演した俳優ソン・ガンホ(55)が男優賞を受賞した。「ある視点」部門で上映された「PLAN75」(6月17日公開)の早川千絵監督(45)が新人監督賞で次点に当たる特別表彰を受けた。最高賞「パルムドール」にはスウェーデン映画「トライアングル・オブ・サッドネス」が輝いた。
「世界のコレエダ」の作品がカンヌで四度目の栄冠に輝いた。
審査員が名前を読み上げると、是枝監督はソンと笑顔で抱き合った。自身監督作では2004年「誰も知らない」の柳楽優弥(32)以来の男優賞。初挑戦の韓国映画で、「パラサイト 半地下の家族」でも主演した韓国の国民的俳優を同国初の戴冠に導いた。ソンは受賞スピーチで「偉大な芸術家である是枝監督に感謝します」と述べた。
本作は親が育てられない子を匿名で預かる「赤ちゃんポスト」を巡り、赤ん坊を連れ帰って売ろうとするブローカー2人と産んだ母親、刑事らの人間ドラマで、是枝監督が脚本、編集も担当。囲み取材では「役者が褒められるのが一番うれしい。男優賞はこの作品にとって最高のゴール、とても美しいゴールだなと思います。韓国でも盛り上がっているはず」と目を細めた。
本作ではエキュメニカル審査員賞を含む2冠。2018年の「万引き家族」でパルムドールを獲得するなど、カンヌには縁が深い。有名になった実感を聞かれると「あります。声をかけられることが増えた」とちゃめっ気たっぷりに笑った。
映画産業では、日本よりも世界から視線を集める韓国で作品を撮り終え、「学びもありましたし、日本映画の変えなければいけないところは明解になってきているはずで。日本映画界全体が危機感を持つべきだし、多分このまま何年かすると手遅れになる」と警鐘。「これをきっかけに、もっと日韓の交流が進んでほしい。学ぶことがたくさんあるだろうし、そこから新しいものも生まれてくる」と呼び掛けた。