是枝監督ら日本映画界改革 過酷労働環境、ハラスメントなど問題山積み

 映画監督の是枝裕和氏(60)、諏訪敦彦氏(62)、西川美和氏(47)ら有志7人が14日、都内で記者会見を開き、業界の労働改善に向けた共助システムの構築を目指す非営利団体「日本版CNC設立を求める会」(通称・action4cinema)を、今月1日に立ち上げたことを発表した。フランスの国立映画映像センター(CNC)や韓国の韓国映画振興委員会(KOFIC)のような統括機関の設立を目指す。

 会は小規模映画やミニシアターの厳しい状況や過酷な労働環境、ハラスメントなど日本映画業界の問題点を包括的に改革すべく発足。興行収入などから財源を確保し、映画文化を守るため幅広く再分配しているCNCやKOFICのような専門機関と支援基金の設立を目指し、関係省庁や業界団体に働きかけていく。

 コロナ禍による全国の劇場の休館などを経た2020年秋に有志が集い、問題意識を共有。リモート会議を重ね、今春から日本映画製作者連盟(映連)との話し合いをスタートさせた。関係団体、配信会社などにもアプローチしているという。

 新作の韓国映画「ベイビー・ブローカー」がカンヌ国際映画祭で男優賞を受賞したばかりの是枝監督は「日本映画の影が薄くなっている。セールスでも韓国は各社がブースを出しているような感じの中で、日本のブースどこ?みたいな状況が起きてしまっている。個々の戦いではすまないというのが実感です」と危機感を吐露。

 興収から財源を得る仕組み作りを映連に訴えているが、「動かない。そこをどうしていくかは今後の課題」と、壁の高さも実感している様だった。

 CNCの支援で仏映画を製作した経験がある諏訪監督は「『あなたの映画は商業的には厳しいでしょう。でも、作られるべき』と支援してもらってきた。収益をたくさんあげたところには相応の還元があり、産業としての持続可能性を担保する。芸術文化の多様性に資すると判断されたものは支援する。産業としての持続可能性、芸術文化の多様性の両面を守るシステム」と、必要性を力説した。

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