羽生善治九段 前人未到1500勝「長く棋士をやってきたんだな」 51歳8カ月での快挙

 両手で1500勝のポーズをとる羽生善治九段
 永世7冠を達成した羽生善治棋聖=2017年
 1434勝で単独1位となった羽生善治九段=2019年
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 将棋の第81期順位戦B級1組1回戦が16日、大阪市内の関西将棋会館で指され、羽生善治九段(51)が山崎隆之八段(41)に82手で勝利。自身の持つ最多勝記録を更新する公式戦通算1500勝を達成した。将棋界初で、四段昇段後36年5カ月、51歳8カ月での快挙。1500勝達成者には、今年4月に創設された「特別将棋栄誉敢闘賞」が贈られる。

 付け入るスキを与えなかった。羽生九段は序盤から徐々に優位に立つと、最後まで流れを渡さず、終始、冷静な立ち回りで粘る山崎八段を追い詰め、そのまま押し切った。

 「予定通りの作戦。どういう展開になるかは分からないけど、指していこうと。似たような将棋を指したこともあったので、それをベースにしました」と振り返った。

 前人未到の1500勝が懸かった一戦。しかし、一時代を築いた百戦錬磨のベテランはあくまで冷静だった。

 「(1500勝は)知っていましたし、自然体で臨もうと思っていました。一つ一つの積み重ねの中で、一つ節目を迎えることができて、うれしく思います。ずいぶん長く棋士をやってきたんだなと実感しました」と、静かに区切りの勝利をかみしめた。

 敗れた山崎八段は悔しさを隠し切れず。「序盤からずっと苦しかった。注目の一番でしたが、形を作れず申し訳ない」と、見せ場を作れずに討ち取られ、肩を落とした。

 羽生九段は昨期、名人9期を含む29期にわたって守ったA級から陥落したが、フリークラスには転出せず。今期、B級1組で再出発した初戦だった。

 「新たな気持ちで今日を迎えることができた。いいスタートが切れて良かった」と好発進に胸をなで下ろしながらも「長丁場なので、まだまだこれから」と気を引き締めた。

 会見では「全ての目標が終わったわけではない。将棋には進歩の余地がある。自分なりに少しでも進歩して上達していければ」「2000局以上指していますけど、まだ知らない形がけっこうあるんだなと最近思いまして、自分なりにトライしている」と衰えない向上心を口にした。

 「これで終わりということではないので、変わらず前を進んで行ければいいと思います」-。藤井聡太五冠を筆頭に世代交代が進む将棋界だが、羽生九段の挑戦はまだまだ終わらない。

 ◆羽生善治(はぶ・よしはる)1970年9月27日生まれ、埼玉県所沢市出身。85年、15歳でプロ入り。89年、初タイトルの竜王を奪取。96年、史上初の全七冠を同時制覇。17年、竜王を奪取して初の「永世七冠」を達成。18年、将棋界初の国民栄誉賞。紫綬褒章。タイトル獲得は99期。棋戦優勝は45回。故二上達也九段門下。妻は96年に結婚した元女優の畠田理恵さん。

 ◆羽生善治九段の主な記録

 初の七冠独占 1996年2月に達成(当時の全タイトル)

 初の永世七冠 2017年12月に達成。永世竜王、十九世名人、永世王位、名誉王座、永世棋王、永世王将、永世棋聖(襲位、就位は原則引退後)

 歴代最多のタイトル通算99期 竜王7期、名人9期、王位18期、王座24期、棋王13期、王将12期、棋聖16期

 タイトル戦登場回数 最多137回

 一般棋戦優勝回数 最多45回

 最優秀棋士賞 最多22回 将棋大賞では最多勝利賞14回、最多対局賞12回、勝率一位賞7回、名局賞8回。年度記録4部門賞独占4回

 第56回菊池寛賞受賞 08年。将棋界2人目

 国民栄誉賞 18年2月。将棋界初

 紫綬褒章 18年11月

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