「ボヘミアン」葛城ユキさん死去、腹膜がん 5月に車イスで復活唱果たしたばかり

 エネルギッシュなハスキーボイスとともに「ボヘミアン」のヒット曲で知られる歌手の葛城ユキ(かつらぎ・ゆき、本名・田中小夜子)さんが27日、腹膜がんのため、都内の病院で死去した。73歳だった。昨年4月にステージ4の腹膜がんと診断され、直後には音楽フェスに出演。自らがんについて報告し、「ロック魂で頑張ります」と力強く宣言していた。同5月から治療を受け、がんと闘いながら、今年5月17日に1年1カ月ぶりの復活ステージに立ったばかりだった。

 ステージ上では、車いすに座ったままではあったが、「ローズ」のカバー1曲を力強い歌声で熱唱。体調を「しんどい。ちょっと動くと心拍数が上がって」と明かした上で、「まだまだ本来の形じゃありませんが、元の葛城ユキに戻れるよう1歩1歩体力をつけて歌い続けます」と完全復活に意欲を示していた。

 葛城さんは、コンサートで共演していた平浩二が緊急搬送され、くも膜下出血と診断されたことをきっかけに人間ドックを受診。4月22日にステージ4のがんを患っていることが判明した。

 4月29日に「NAONのYAON2021」に出演し、がんについて自ら触れ、「まだ一緒に歌いたい曲がいっぱいあるんだよ!」「歌うためだったら苦しくても痛くても耐えます」と語っていた。直後に入院し、5月から抗がん剤治療を開始。2度の手術を受けた。

 治療は当初、昨年いっぱいを見込んでいたが、想定よりも長引き、入院も10カ月間に及び、精神的な苦しみと体の痛みに耐えたことを告白。「歌い続ける」ことを願い、続けた治療だった。

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