3代目黄門様・佐野浅夫さん死去 “泣き虫黄門”で人気博した名優 96歳、老衰で

 TBS系で放送された人気時代劇「水戸黄門」の3代目黄門役で知られる佐野浅夫(さの・あさお、本名浅雄=あさお)さんが6月28日午後9時59分、老衰のため京都市の自宅で死去した。96歳。横浜市出身。葬儀は家族で行った。太平洋戦争中から俳優として活動。長年、映画やドラマで活躍した名優が生涯を閉じた。

 “泣き虫黄門”としてお茶の間の人気を博した名優が逝った。

 佐野さんは太平洋戦争中から俳優として活動し、戦後、劇団民芸に参加。「水戸黄門」は93年の第22部から2000年の第28部まで務めた。初代・東野英治郎さん、2代目・西村晃さんに続く3代目として、親しみやすい黄門像を築き上げた。

 映画では熊井啓監督作品の常連で「帝銀事件 死刑囚」「地の群れ」などのほか、鈴木清順監督「けんかえれじい」、深作欣二監督「県警対組織暴力」に出演。ドラマでは「肝っ玉かあさん」や「おやじ山脈」「藍より青く」で人気を集めた。

 NHKラジオで幼児向けの語り聞かせ番組「お話でてこい」を長年担当。96年には勲四等瑞宝章を受章した。

 俳優生活50年目で巡り会った“黄門さま”には計246話出演。世直しの旅で、番組の重みをかみしめた。出演2年目の94年、石川県でのロケの合間に老人ホームを訪問した際には両手で手を合わせたり涙を流す人が続出。反響の大きさに「ひたすら水戸黄門街道を歩み続けたい」と“生涯黄門”を宣言した。

 11年に番組の終了が発表された際には「いまだに『ご隠居』と親しみをこめて声を掛けていただいております。この番組が終わるということは、日本人の心も何処か遠くへ逝ってしまうのでは。残念です」と思い入れを伝えていた。

 愛する番組が役目を終えてから11年。佐野さんが人生の旅を静かに終えた。

 ◆あおい輝彦(「水戸黄門」助さん役)「佐野さんとは、計8年間、全国を助さん役として旅をさせて頂きました。近年はお目にかかっておらず、お元気かなと気にしておりました。心からご冥福をお祈り致します」

 ◆野村将希(「水戸黄門」飛猿役)「人生を佐野さんなりに目一杯満喫されて、旅立ったのだと思います。大往生に拍手です。あえて、寂しい別れの言葉より、お疲れ様でした。と、お送りしたいと思います」

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