2世信者が紀藤弁護士らと会見 安倍氏銃撃断罪も教会への恨みには理解
紀藤正樹弁護士ら全国霊感商法対策弁護士連絡会が12日、都内で会見を開き、安倍晋三元首相を銃撃した山上徹也容疑者についてコメントした。山上容疑者は、母親が宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」信者で多額の献金を繰り返し、生活が破綻。同団体に恨みがあり、関連団体のイベントにメッセージを送るなどしていた安倍氏をターゲットにしたとみられている。
会見の冒頭では出席者が安倍氏に対して黙とうした。紀藤氏は山上容疑者の行為は許されないものとした上で「背後には(旧)統一教会の過酷なノルマがあって、家族が崩壊した、それが怨恨(えんこん)につながった可能性がありますよね。憤りの対象は個々の信者とかに向けられるべきじゃなく、巨悪に向かうべきだと思います」と語った。さらに「彼らは反省と言いながら同じことを続けるんです。反省と言いながら過去の罪は清算しないんですよ。霊感商法とか違法な献金はいまだに続いてるんですね」と説明した。
会見には母が信者だという女性も出席。母に逆らえずに信者となり、合同結婚式に参加したが、その後は過酷な生活を強いられ、脱会したことなどを赤裸々に語った。
山上容疑者に対しては「犯人のしたことに関しては何一つ擁護することもないですし、正しいとも思っていません」と断罪。一方で「人生を(旧)統一教会によって破綻させられた身としては、理解できてしまうという苦しい心情があります」と複雑な思いも語った。
「やったことは間違っている」と重ねて語った上で「それだけ(旧)統一教会は人生を破壊します。この思いが少しでも解決する方向に進んでいけばと思います」と会見に出席した理由も語った。
山上容疑者が安倍氏を狙うようになったことについては「わたしの中で教会=安倍(元)総理というのはまったくありませんでした」と疑問視。一方で「教会を恨んだ、という部分では理解できるということです」と説明した。
海外の大物政治家と教会創立者の文鮮明氏が会っている写真などを見せられ「『やっぱりすごい、メシアなんだ』と思わされてしまう」と政治家が“利用”されていることも指摘。安倍氏については教会幹部らとの写真があったわけではなく、友好団体に「祝電がきた」というような内容で伝えられたことがあったという。