五輪組織委元理事 五輪スポンサーAOKIから約4500万円受領か 収賄罪の可能性
東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)が代表を務める会社が、大会のスポンサー「オフィシャルサポーター」を務めた紳士服大手AOKIホールディングス(横浜市)側と大会前に月額100万円のコンサルタント契約を結び、計約4500万円を受領していたとみられることが20日、関係者への取材で分かった。東京地検特捜部も経緯を把握し捜査。AOKIホールディングス前会長の青木拡憲氏(83)を既に任意聴取しており、資金の趣旨などについて確認を進めている。
AOKIホールディングスは2018年10月、組織委とエンブレムの使用権などが与えられるオフィシャルサポーター契約を結んだと発表。19年夏から一般向けにエンブレム付きのスーツなどを販売し、3万着以上を売り上げた。
高橋氏の会社は、スポーツ関連のコンサルタント会社「コモンズ」(東京)。高橋氏は20日、共同通信の取材に対し、17年9月にAOKI側と契約を締結したと説明し「組織委のやることに重ならないよう神経を使ってきた」と話した。コンサル契約の内容は「AOKIの経営全体や新規事業への提案」などとし、不正はないとの認識を示した。
東京五輪・パラリンピック特別措置法は、組織委の役員や職員を「みなし公務員」と定めており、職務に関して賄賂を受け取れば刑法の収賄罪に当たる可能性がある。
高橋氏は広告大手電通(東京)の元専務。サッカー界など国内外のスポーツ分野に幅広い人脈があり、14年6月から組織委理事を務めていた。
AOKIは青木氏が1958年に長野県で創業した。東京五輪・パラで、日本選手団が開会式や式典で着る公式服や審判用の服を作った。AOKIは取材に「お答えを差し控える」としている。
国際オリンピック委員会(IOC)は、大会関係者について大会に関わる報酬や手数料などの受領を禁じる倫理規定を設けている。