高橋治之元理事 AOKIライセンス商品の審査、急ぐよう要請 組織委の清算法人捜索
東京五輪・パラリンピック組織委員会の高橋治之元理事(78)側に大会スポンサーの紳士服大手AOKIホールディングス側が資金提供した事件で、広告大手電通の専務を務めた高橋氏が、同社から出向した組織委幹部に対し、AOKIのライセンス商品の審査を急ぐよう求めたとみられることが27日、関係者への取材で分かった。
電通の人脈で組織委の業務に影響を与えた可能性があり、東京地検特捜部は計約4500万円に上るAOKI側からの資金提供との関連を捜査する。関係者によると、高橋氏は、不正な働きかけではないとの認識を示している。
AOKI側は2017年9月、高橋氏のコンサルタント会社「コモンズ」に資金提供する契約を結んだ。18年10月にスポンサーとなり、エンブレム付きスーツなど3万着以上を売り上げた。
高橋氏側への資金提供を巡り、特捜部は今年春ごろからAOKIの関係者を任意聴取し、AOKIホールディングスの青木拡憲前会長(83)は「高橋さんの人としての力に期待した」と供述。青木氏の部下はライセンス商品の販売のため、高橋氏の力がほしいとの内容を青木氏にメールで伝えていた。
関係者によると、高橋氏は電通から来ていたマーケティング局幹部に、AOKIのライセンス商品の審査を「早く進めてほしい」と頼んだという。
特捜部は26日、受託収賄容疑で高橋氏宅などを家宅捜索し、関連先として電通も捜索。27日には、青木前会長宅や東京都庁内にある組織委の清算法人も捜索した。