近代五種新種目で五輪も “ミスターSASUKE”山田勝己が感慨「世界が認めてくれた」
TBSの人気番組「SASUKE」で第1回から出場している“ミスターSASUKE”こと山田勝己(56)が11日、都内で取材に応じた。28年ロサンゼルス五輪で、近代五種の新種目として「SASUKE」を模した障害物競走が導入される可能性があることを受け、「なかなか(実感として)ピンとはきていないが、障害物(競争)をやるならSASUKEでしょうと、日本だけじゃなく世界の人が認めてくれたっていうのがすごいことだなと。そこまでSASUKEが世界に浸透している証拠だと思うので」と心境を語った。
国際近代五種連合(UIPM)は今年6月、トルコ・アンカラで開催したテスト大会で、馬術に替わる新種目候補として「SASUKE」の障害物を採用した「忍者競争」を実施。TBSからも4種類の番組セットを提供したという。9つの障害物のうち、最後には「SASUKE」名物の“そり立つ壁”を簡略化したような壁をよじ登るセクションが設置され、近代五種や忍者競争のアスリートら19カ国100人の参加者の気力を削った。
山田は1997年の第1回放送から「SASUKE」に参加し、99年の第3回はファイナルまで進出。人生を懸けて挑む姿は番組の風物詩と化し、“ミスターSASUKE”として人気を博している。「第1回から山本進悟とやり続けてきて(番組を)終わらせることなく、諦めることなく挑戦してきて、やり続けた結果が五輪(の種目候補)なんやと。ちょっと自信になりました」と感慨深げ。「名も無き男たちのオリンピック」というキャッチフレーズでもおなじみだったが、「“名も無き”じゃなく、ほんまにオリンピック(種目の一部)に決まったら光栄なこと」と喜びをかみしめた。
ただ、テスト大会で実施された“そりたつ壁”は角度が緩やかだっただけに、「あれだと簡単過ぎて面白くないですよね」と、冗談交じりに熱を込めたミスターSASUKE。今後もテスト競技を重ねて難易度を調整していく見込みだけに、「これから競技用に『SASUKE』とか『忍者ウォリアー』に近づいていくと思う。本気でそり立った壁になっていってほしい」と期待を込めた。
この日は「MARUNOUCHI SPORTS FES 2022」内で行われた「SASUKE」のイベントにゲスト参加。4・5メートルのそりたつ壁の体験会やトークショーを通じて一般参加者と交流し、今年開催予定の第40回大会をPRした。
◆山田 勝己(やまだ・かつみ)1965年10月22日、兵庫県出身。阪神ファンで、掛布雅之に憧れた。1996年にTBSの番組「筋肉番付」のクイックマッスルで全国準優勝。「SASUKE」には97年放送の第1回から参加し「ミスターSASUKE」の異名を持つ。2012年に引退したものの、20年に復帰。「山田軍団・黒虎」というチームを結成し、後進の育成にも励んでいる。
◆「SASUKE」が近代五種の新種目候補に 国際近代五種連合は今年に入り、2028年ロサンゼルス五輪から馬術を除外し、新種目候補として障害物競走を試験的に導入すると発表。テスト大会を経て、総会で正式に採用するか決定するとしている。近代五種は1912年ストックホルム五輪から採用され、フェンシング、競泳、射撃、ランニング、馬術で行われてきたが、昨夏の東京五輪でドイツコーチが馬に暴行する事件が発生した後、馬術の廃止を議論。代替の新種目として、当初はクロスカントリー自転車が採用されるとみられていたが、トライアスロンとの軋轢を懸念し、障害物競走が第1候補に挙がっていた。「忍者競走」は「SASUKE」から派生した米国版の「NINJA WARRIOR」など世界的にも人気が広がっている。