杉田あきひろ ステージ3喉頭がん、薬物依存回復途上「ダブルで乗り越える」闘病生活へ
NHK「おかあさんといっしょ」の元うたのおにいさんで歌手の杉田あきひろ(57)が13日、都内で行われたライブの開演前に、デイリースポーツなどの取材に応じた。8日にSNSでステージ3の喉頭がんを患ったことを告白した杉田は、15日から始まる本格的な治療を前に「自分の生命力を信じて頑張ってみようかなと」と決意。2016年に覚醒剤取締法違反容疑で逮捕。現在も薬物依存からの回復途上で“ダブル完治”を誓った。
新たな闘いを前に、杉田は“復活”への強い決意を示した。薬物依存からの回復という壁を乗り越える最中で発覚した病魔。それでも「乗り越えられない者はいないと思って頑張ろうと」とし「ダブルで病気を乗り越えたら、俺すげえじゃんって自信も持てる」と力を込めた。
昨年9月に「腫れてるな」と、喉に違和感を覚えたという。当初は歯科医の診察を受け「がんではない」と言われ、自身も「声が出ていたので気にせずにいた」という。だが、今年4月に新型コロナウイルスのワクチンを接種した際に再び喉が腫れ、その後、6月に細胞を検査した結果、がんが発覚した。
当初は「ステージ2」と告知されたが、再検査した結果「ステージ3」に。「坂本龍一さんの中咽頭がんと同じだと言われた」。治療法は放射線治療を選択。放射線を当てた周囲の筋肉が固くなるリスクがあるが「(薬物治療の)ダルクで毎朝5キロを走らされたが、走った後に田んぼの中で毎日発声(練習)をやっていて調子を戻した。克服してみせようと」と覚悟した。
告知の際は「落ち込んだ」が、仲間に励まされている。この日は、自身と同じ16年に薬物で逮捕された俳優・高知東生(57)や元NHKアナウンサーの塚本堅一氏(44)が来場。また、元プロ野球選手の清原和博氏(54)が始球式を行った動画を見て奮い立った。「4人が自分の土壌で頑張れている」。月に一度、依存症治療のミーティングに通っており「みんながいるから頑張れる」と思いをはせた。
「おかあさん-」で共演した“うたのおねえさん”のつのだりょうこ(46)や、“おにいさん”の後輩・横山だいすけ(39)からも「帰ってきてください」というメッセージが届き「恵まれているなと」と感謝。ジャズピアニスト・金谷康佑(63)とのユニット「The NEO」が音楽活動の軸で、今後はつのだや横山との共演も約束しており「帰らなきゃ」と活力となっている。
栄光と挫折、そしてがんとの闘いという波乱の人生。それでも「すべて意味があるのかなと」と前を向き、治療を経て「僕の歌がもっと良くなっているかもしれない」と希望を口にした。14日に福島市内で行われるライブを最後に闘病生活に入る。「苦しんでいる方に大丈夫だというメッセージを、身をもって示したい」。その目に光が宿った。
◆杉田あきひろ 本名・杉田光央。1965年5月4日、福井県生まれの57歳。1989年、慶大在学中にミュージカル「レ・ミゼラブル」のオーディションに合格。ジョリーを演じる。1999年、NHK・Eテレ「おかあさんといっしょ」の第9代「うたのおにいさん」に。2003年まで務める。16年、覚醒剤取締法違反(使用)で逮捕、有罪に。19年、ASK認定依存症予防教育アドバイザーに。