森英恵さん死去 96歳老衰で 世界的デザイナー ひばりさん衣装など手がける 

 日本のファッションデザイナーの草分けで、チョウをモチーフにしたデザインで国際的に活躍し、服飾デザイナーとして初の文化勲章を受けた森英恵(もり・はなえ)さんが11日、老衰のため東京都内の自宅で死去していたことが18日、分かった。96歳。島根県出身。葬儀・告別式は近親者で行った。喪主は長男の顕(あきら)氏。後日お別れの会を開く予定。

 森さんは結婚後に洋裁を学び、1951年に洋裁店「ひよしや」を開いた。50年代の邦画全盛期に数百本の作品で衣装を担当した。

 テーマは一貫して「東と西の融合」だった。着物風の広い袖、帯から発想したベルト、草書や墨絵をモチーフにした図柄などを洋服に持ち込み、65年にニューヨークで初めて海外コレクションを開いて注目を集めた。

 77年、新規加入が難しいパリのオートクチュール(高級注文服)組合に、ピエール・カルダンやユベール・ド・ジバンシーの推挙を受け、日本人として初めて加入を認められた。トレードマークのチョウは「日本の女性美の象徴」として考案。生涯を通じて描いた。

 信念を「ファッションは人間の体に一番近い文化です。自分の持つものすべてをかけて作らなければ、人の心を揺り動かすことはできない」としていた。

 70年代から約30年間、パリで新作を発表する一方、生活雑貨などのデザイン契約も多数結び、ブランドは一般家庭に浸透した。ミラノのスカラ座で「マダム・バタフライ」の衣装を手がけるなどオペラなどの衣装でも活躍。美空ひばりさんの「不死鳥コンサート」の衣装、バルセロナ五輪日本選手団のユニホーム、皇太子(現天皇陛下)ご成婚での雅子さまのローブデコルテも手がけ話題になった。森さんの作品はナンシー・レーガン元米大統領夫人など世界中の女性著名人に愛された。

 2002年にブランド「ハナエモリ」が100億円超の負債を抱え経営破綻した。その後は高級注文服のデザインに専念。04年のパリでのショーを最後に一線を退いていた。

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