小林政広監督が死去 68歳、横行結腸がん 仲代達矢悼む「夢を与えてくれた監督でした」
「バッシング」「愛の予感」などで国際的に評価された映画監督の小林政広(こばやし・まさひろ)さんが8月20日、横行結腸がんのため死去した。68歳。東京都出身。故人の遺志により葬儀は行わなかった。喪主は妻直子(なおこ)さん。
フォーク歌手として活動後、脚本家を経て1996年に監督デビュー。2005年、イラクで起きた日本人人質事件をヒントにした「バッシング」がカンヌ国際映画祭コンペティション部門に出品された。07年には自ら主演もした「愛の予感」がスイスのロカルノ国際映画祭で最高賞の金ヒョウ賞を受賞。いずれも社会から疎外された人間を描いた。
「春との旅」「日本の悲劇」「海辺のリア」に主演した俳優の仲代達矢(89)は「非常に残念です。もう一本やりたいですねと、いつも話していました。次の作品の話をするのを楽しみにしていた矢先の訃報に大変寂しい思いです。晩年の役者にもう一度夢を与えてくれた監督でした。希少な才能を失い、日本の映画界も寂しくなります」と惜しんだ。