宝塚星組・極美慎 初バウ主演「ベアタ・ベアトリクス」初日 「大切な時間を実感」
宝塚歌劇団星組スター極美慎のバウ初主演作「ベアタ・ベアトリクス」が8日、兵庫・宝塚バウホールで開幕した。
極美は花組の聖乃あすか、月組の風間柚乃らが顔をそろえる100期の中で、最初に新人公演に主演するなど、早くから注目されていた。今回、満を持しての主演は、19世紀半ばのイギリスを舞台に、画家で詩人のロセッティが、代表作「ベアタ・ベアトリクス」を生み出すまでの愛憎劇ミュージカル。極美はロセッティの波乱にみちた人生を立体的に造形した。
女性にもて、悪童的な序盤のロセッティは、キラキラした華やかさが持ち味の極美によく合っており、その華は真ん中に立つにふさわしい。さらに話が進む内に、画家としての苦悩、小桜ほのか演じるリジーへの愛と苦しみ、神童と呼ばれた天飛華音ジョン・エヴァレット・ミレイへの友情と嫉妬などを丁寧に演じ、役者としての魅力も見せた。
ヒロインの小桜はじめは定評のある歌と芝居で1期下の極美を支え、天飛、碧海さりおら画学生仲間も生き生きと演じ、19世紀のイギリスの息吹を感じさせた。また弟子のウィリアム・モリス役の105期の大希颯も抜擢に応えた。
なお演出家・熊倉飛鳥氏の宝塚バウホールデビュー作。主人公だけでなく、他の登場人物の物語も書き込んだ。「ベアタ・ベアトリクス」(ロセッティ)、「オフィーリア」(ミレイ)、「いちご泥棒」(モリス)などの有名な絵画等は実際には舞台に登場せず、一部はリジーがモデルとしてポーズを取り、客席の想像力をかき立たせさせた。
最高学年のひろ香祐が「熊倉飛鳥先生のバウデビュー作、そして極美慎の初主演という喜ばしい作品です」と紹介。極美も「このような状況下で、みんなで話し合い、作り上げた時間は何にも変えがたいものでした。それを(観客の)皆さんと共有できたことが何よりです」と初日を迎え感無量の様子。「こうして皆さんとお会いでき、あらためて大切な時間だと実感しました。千秋楽まで完走したいと思います」とあいさつした。
19日まで。