エリザベス女王 死去 96歳、王室発表「安らかに息を引き取った」歴代最長在位70年

 英国のエリザベス女王が8日、滞在先のスコットランド・バルモラル城で死去した。96歳。英王室は「安らかに息を引き取った」と発表した。在位期間は約70年7カ月にわたり英歴代君主として最長。英史上最高齢の君主で、世界の存命する君主の中でも最高齢だった。英国の安定と国民統合の象徴として絶大な人気と尊敬を集めた。国家的支柱を失った英国は服喪期間に入る。王位継承順位1位の長男チャールズ皇太子(73)が新国王チャールズ3世として即位した。

 「英国の母」が永遠の眠りに就いた。ロンドンのバッキンガム宮殿前には死を悼む人が続々と集まり、涙を流した。冷たい秋雨が一時やんだ夕刻の空に、大きな二重の虹が架かった。宮殿の一角には献花場所が設けられ、手紙や色とりどりの花束がささげられた。

 新国王は「大切な君主であり、多くの人々に愛された母の死を深く悼む。英国民や世界中の人々が喪失を感じるだろう」と声明を発表した。

 1926年、後の国王ジョージ6世の長女としてロンドンで生まれた。47年にフィリップ殿下と結婚、3男1女をもうけた。52年2月、ジョージ6世の病死に伴い25歳で即位した。47年、21歳の誕生日にスピーチで「私の人生が長くても短くても、皆さんや王室への奉仕にささげることを誓う」と決意を公にし、53年の戴冠式でもその志を神に誓った。

 90年代には故ダイアナ元皇太子妃の離婚や事故死で王室廃止論が浮上するほどの危機に見舞われたが、伝統を堅持しつつ身近な王室を目指した改革を進めた。自らの決断で威信回復に努め、国民の厚い信頼を獲得した。

 2007年12月に英史上最高齢の君主となり、15年9月に在位期間が歴代君主で最長となった。今年2月に在位70年を迎え、6月の祝賀行事では英国の人気キャラクター「くまのパディントン」とやり取りする映像が話題となった。12年のロンドン五輪開会式でも、ジェームズ・ボンドを演じる俳優ダニエル・クレイグと共にスカイダイビングする映像が流されるなど、ユーモア精神も豊かだった。

 新型コロナウイルス流行下の20年には異例の演説で「より良い時代が来る」と述べるなど、節目で国民に結束を促し存在感を示した。20年に孫のヘンリー王子夫妻が公務を引退し、21年には70年以上連れ添ったフィリップ殿下に先立たれたが、気丈に公務を続けた。どんな場合でも気品と尊厳を失わなかった。

 死去2日前にバルモラル城でトラス新首相を任命した際は元気そうだった女王はもういない。英BBCによると、英王室ゆかりのウェストミンスター寺院で2週間以内に国葬が営まれる見通しだ。

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