角川歴彦容疑者とは 事業多角化で業績飛躍も「鶴の一声で全てが決まる」

 東京五輪・パラリンピックを巡る汚職事件で、東京地検特捜部は14日、出版大手KADOKAWAの会長角川歴彦(つぐひこ)容疑者(79)を逮捕した。大会スポンサーの選定で有利な取り計らいを受けた謝礼などとして、大会組織委員会元理事高橋治之容疑者(78)=受託収賄容疑で再逮捕=側に約6900万円の賄賂を提供したとして、贈賄の疑い。角川容疑者は容疑を否認している。5日の取材の際、賄賂を渡した認識について「全くない」と説明していた。

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 角川容疑者は1990年代以降、創業家出身の社長として同社をけん引し、経営多角化で業績を飛躍させた立役者。強いリーダーシップを発揮する半面、社員が「意向は絶対」と顔色をうかがう雰囲気を生み出していた。

 45年に角川書店を創業した源義氏を父に、「セーラー服と機関銃」などの「角川映画」で一世を風靡した春樹氏を兄に持つ。80年代には役員として、テレビ情報誌「ザテレビジョン」や若者向けの「ライトノベル」を成功させ、天才肌の兄を経営面で支えた。兄が92年に薬物事件で逮捕、失脚すると翌年、50歳で社長に就任し、改革に乗り出した。

 出版社では異例の株式上場を実現、漫画やアニメの企業を相次ぎ買収。「ニコニコ動画」のドワンゴと経営統合した2014年の記者会見で「日本を代表する21世紀の新しいメディア」になるとぶち上げ、後継社長にドワンゴ出身の川上量生氏、夏野剛氏らを指名した。

 革新性は絶大な権力に裏付けられた。「鶴の一声で全てが決まる」。社内ではトップの意向をかなえるため、社員が奔走する「会長案件」の存在が指摘されていた。逮捕前、高橋容疑者へ賄賂を渡したかどうか問われ「全くありません」と声を荒らげた様子に「普段は本音を見せない典型的な『タヌキ』。あんなに感情的になっている会長は珍しい」と驚いた。

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