殿さまキングス・宮路オサム悼む 生き延びて、歌い続けていくのが彩木雅夫先生へのお礼

 宮路オサム
 「なみだの操」のジャケット
  彩木雅夫さん
3枚

 「長崎は今日も雨だった」「なみだの操」などのヒット曲で知られる作曲家の彩木雅夫(さいき・まさお、本名新居一芳=あらい・かずよし)さんが16日に肺炎のため亡くなっていたことが23日、分かった。89歳。北海道出身。250万枚以上のセールスを記録した「なみだの操」を歌った殿さまキングスの宮路オサム(76)が恩師を悼んだ。

 ◇  ◇

 今朝、札幌のラジオ局の関係者から先生の訃報を伝えられました。さみしいです。シャイで表に出たがらない、裏方に徹した方でした。「なみだの操」がヒットして取材の依頼があっても彩木先生は「あの曲は宮路オサムにあげたもの。宮路に聞いてほしい」とおっしゃっていたそうです。

 8月11日に札幌で、卒寿を迎える先生をお祝いする会があり、サプライズで参加しました。先生は車椅子に座ってられて、お孫さんからお花を贈られるとうれしそうな顔で。僕が出ていったらびっくりされて。『なみだの操』『夫婦鏡』を歌わせてもらいましたが、レコーディング以来の緊張でしたね。

 彩木先生の曲が好きで、個人的にお願いして曲を書いてもらえないだろうかと札幌に1人で行きました。昭和48年頃です。待ち合わせはススキノの喫茶店。大作曲家先生だから金縁の眼鏡で、口ひげをたくわえてるような人だと思ったら、奥に座ってる、長靴を履いてジャンパーを着ている人で。彩木先生でいらっしゃいますか?とお聞きしたら「んだ!」って。

 実は「なみだの操」はメロディーを間違えて歌ってるんです。でも先生は「おさむちゃんが好きなように歌えばいい。あとで(曲を)直しておくから」って。でも、直してないから、カラオケバトルで自分が歌うと74点しか出ない。メロディー通りに歌いなさい、とうるさく言う先生もいますが、先生は違っていました。大衆が好きな歌、漁師さんたちが鼻歌で歌うような、そういう歌を先生は宮路に望んだんじゃないかと思います。

 先生に書いていただいた曲は「命」です。「先生にお会いしてなかったら、『なみだの操』を歌ってなかったら、今の僕はないです」とお伝えしたことがあります。先生は「おさむちゃん、その言葉をすべてあなたに返します」と。生き延びて、歌い続けていくのが先生へのお礼、責任だと思っています。

関連ニュース

編集者のオススメ記事

芸能最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング(芸能)

    話題の写真ランキング

    写真

    リアルタイムランキング

    注目トピックス