宝塚 雪組トップ彩風咲奈『蒼穹の昴』開幕 「元気に駆け抜けたい」
宝塚歌劇雪組公演「蒼穹の昴」が1日、兵庫・宝塚大劇場で初日の幕を開けた。清朝末期の紫禁城の権力闘争を描いた浅田次郎氏の同名小説を、初舞台化した。
宝塚版では梁文秀が主人公で、トップスターの彩風咲奈が演じた。科挙に首席で合格するほど頭脳明晰で、誠実な様が、宝塚音楽学校首席で卒業した彩風自身と重なる。作品自体が群像劇で、登場人物も多く、さまざまなドラマが描かれている。だがそんななか、彩風はきっちりとトップとしての役割を果たした。
また文秀の義兄弟で、貧しさ故に宦官として西太后に仕えた李春児を演じた朝美絢は、自ら去勢する強さと、どこか少年っぽさを失わない明るさを、瑞々しく演じた。
今作の東京宝塚大劇場の千秋楽で退団するトップ娘役の朝月希和は、春児の妹・玲玲を演じた。全体の調和を大切に出過ぎず、引きすぎず、朝月らしい芝居で最後を飾った。
和希そらは落ち着いた芝居で、与えられた場面や歌で存在感を見せた。光緒帝の縣千も、押し出しのよさが、衣装や大がかりな紫禁城のセットに負けない、帝らしさを醸し出した。また一禾あおらの若手にも目立つ役が与えらた。
今回、李鴻章の凪七瑠海をはじめ、専科から6人が出演。西太后の一樹千尋らが芝居に厚みを加えた。
彩風は前日に行われたゲネプロで「初日から元気に駆け抜けて参りたいと思います」とあいさつしていた。
11月7日まで。東京宝塚劇場は11月26日~12月25日。