里見女流五冠 天井見上げ投了、女性初棋士ならず 再受験否定「最後の挑戦」

 敗戦に肩を落とす里見女流五冠(代表撮影)
 棋士編入試験の第3局で狩山四段(右)に敗れ、感想戦で対局を振り返る里見女流五冠(代表撮影)
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 将棋の里見香奈女流五冠(清麗、女流王座、女流王位、女流王将、倉敷藤花=30)が13日、大阪市の関西将棋会館でプロ棋士編入試験五番勝負の第3局に挑み、103手で狩山幹生四段(20)に敗れた。第1局の徳田拳士四段(24)、第2局の岡部怜央四段(23)に続く敗戦。対戦成績0勝3敗で不合格となり、女性初の棋士誕生はかなわなかった。再受験の可能性については「最後の挑戦だと思っていたので」と否定した。

 里見女流五冠は後手番から、得意の中飛車で積極的に動いていったが、狩山四段にうまく対応されリードを奪われると防戦一方。必死に指し手を続けたが、最後は天井を見上げて投了を告げた。「堅い陣形でまずまずと思っていた。踏み込んでいく順があったが、迷いながらになってしまった。あまり本意の展開ではなかった」と振り返った。

 5月27日の棋王戦予選決勝で古森悠太五段(27)を破り、公式戦の直近成績を10勝4敗とし、女性で初めて編入試験の受験資格を獲得。6月24日に受験を申し込み、日本将棋連盟で受理された。新人棋士5人と対局し、3勝すればプロの四段となれたが、ストレートの3連敗での不合格となってしまった。

 プロ棋士を目指して練ってきた対策も実らなかった。「うまく行くのもあったが、そうでないのもあった。中盤で読み負けしている部分があり、実力不足」と完敗を認めざるを得なかった。

 かつてプロ入りを目指して奨励会に挑戦し、最高段位の三段まで昇段したが、18年に年齢制限のため退会。いったんは棋士になることをあきらめた。それでも、「自分がより後悔をしないような選択をしたい」と決断してのチャレンジだった。

 再受験の可能性については、「最後の挑戦だと思っていたので。今のところはないです」と否定。それでも「自分の弱い部分が見えた。これからの糧にしていきたい」と前を見据えた。初の女性棋士の夢はついえたが、女流棋士の第一人者は、自分の道を進んでいく。

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