【渡邉寧久の演芸沼へようこそ】新たな居場所を見つけた「寄席芸人」
コンビ名は「風藤松原」。ふうとうまつばら、と読む。昨年10月、落語協会(柳亭市馬会長)の正会員になった。「寄席芸人」-そう呼ばれることに「ありがたいですね」と2人は口をそろえる。
ネタを振り進行を見計らう風藤康二(44)とネタ作りを担当する松原義和(48)。2004年にコンビを結成した。
所属する太田プロダクション主催のお笑いライブなどに出演する一方、M-1グランプリでは準決勝進出、THE MANZAIでは決勝進出するなどキャリアを積んでいたが、「テレビで活躍することが僕たちに向いていないんじゃないか」(風藤)。
そんな迷いがコンビ内に漂っていたころ、寄席に出演している漫才師「米粒写経」のサンキュータツオ(46)に「寄席に向いている芸風だし、どう?」。寄席芸人という生き方を提示された。
それがどんぴしゃり!落語家・橘家文蔵(60)一門として、「40歳を超えて新人芸人になった」と松原。風藤は「お笑いライブではどこに行っても年長者で、怒られることもなくなっていた。それがいきなり香盤(キャリア)がいちばん下になった。気持ちが引き締まりましたね」と、身の置き所の変わりようを伝える。
「とにかく寄席に順応するのが必死で」と松原が言うように、戸惑うことばかりの日々。落語家がメーンの寄席では、漫才師は色物芸人という位置づけ。あいさつだけはしっかりやりなさいと先輩に教わり、正月にはお囃子さん(寄席囃子の演奏者)と前座にお年玉を渡すことも覚えた。
「お笑いライブやテレビでは、4、5分の尺のネタを求められましたけど、寄席の持ち時間は15分前後。できるのか」(風藤)という心配を乗り越え、日々寄席の高座に上がるが「いまだに緊張しますね」と風藤。松原は「ネタを書くときには寄席の雰囲気を考え、どういうネタが通用するのかデータとして集めておかないといけない」と、寄席という寸法にあう芸を模索する。
今はまだ「目の前のことで必死」(松原)だが、日々高座に上がれる場数の多さが、2人の“漫才力”を鍛える。
40代で若手。70代、80代でも漫才師として高座に上がることができる寄席という世界に、2人は確かな居場所を見つけつつある。(演芸評論家)
◆渡邉寧久(わたなべ・ねいきゅう)新聞記者、民放ウェブサイト芸能デスクなどを経て独立。文化庁芸術祭・芸術選奨、浅草芸能大賞などの選考委員を歴任。東京都台東区主催「江戸まちたいとう芸楽祭」(ビートたけし名誉顧問)の委員長を務める。
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